茨の君に最上の呪いを【狗巻棘】

28 やりたいこと。 ページ28

…





「なぁ、ほんとにこれでいいのか？」


ニコニコるんるん。「私は今最高に幸せです」と全身から溢れるそのオーラは、真希からしたら若干の恐ろしさを感じるほどだった。


引き気味になりながら再確認すれば「もちろん」と答えが返ってくる。


「でも、私が言い出したのに買い出し一緒に行けなくてごめんね」

「んなこと気にすんな。私らも気兼ねせず楽しめるし、嬉しいよ」


真希のその言葉は、Aを喜ばせるには十分で。
「んふふ、私も真希ちゃんたちと居られて幸せ」


真希の先程の言葉は、デレ全開のAのそれが伝染したようだった。
全く、と呆れたような言葉を放ちながらも、表情は酷く優しい。


「んじゃ、早速リスト(これ)、借りてくるからな。悟(あのバカ)はどうせOKくれるだろうし」


真希がそう言って買い出しに行ってしまう。「気をつけてね」なんて言いながら、Aはそわそわ浮き足立って厨房へ消えていった。


五条先生のことは、混ぜれば文句も言うまい、とパンダは言う。
狗巻は一人で出かけていった真希が気になるようだったが、真昼間だし大丈夫だろうとのパンダの言葉に頷いた。


「すじこ……？」
「ああ、まあそこら辺はA本人に聞いた方が楽だな」


なんやかんやで、Aが提案したのは映画鑑賞だった。場所は五条といつも訓練するあのスクリーンルーム。

それならパンダもAも一般人との接触を控えられる。



Aはというと、プレッツェルを作るとか言って、厨房に引っ込んでしまった。


「俺は邪魔になるから行かないぜ」
「しゃけ、つなまよ」
「はいよぉ」

29 やりたいこと。2→←27 提案

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す