7話 裂斬 ページ8
「正義を語るのはどこのどいつだ？」
激しい音と共に体に似合わぬ大斧を持った黒い影が一つ。その姿はユーカリとどことなく似ているが、歯は尖り、醜悪極まりない魔力を放っていた。
「クロユリ…！」
「やっぱり……お前らか」
周りの血痕のように赤黒い目は座っている。
「俺は今サイコーに機嫌が悪ぃんだ………………運が悪かったな…!!!」
「クソッ…！」
ユーカリは杖を構えクロユリの動きを封じようとする。瓦礫の間から逞しい草木が生え、彼女の動きを制限しようとするがユーカリの身体に異変が起きる。
「く…ううううっ…！」
「ユーカリさん！無茶は禁物です！」
腕に蔦が絡み始める。ユーカリは豊富な魔力を持つものの、一定の消費を続けると自分自身を魔力が侵食し始める。先程の大量の魔獣との戦闘でユーカリの魔力は消耗していた。
「なんだ？相変わらず弱いな‼だから俺が殺してやるって言ってんのによぉ!!」
細身の体躯からは想像が出来ない程の力で、足元に生えた植物をもろともせず大斧を振り回し暴れている。
「一体どこからあの力が出てくるんだ？！」
「ミクオさんのように神性からくる恩恵では無いですねッ………！魔力を筋力増強に使っているのでしょうか…！」
「だとしたら魔力の枯渇がある筈だ！それを狙うしかない！」
容赦なく襲い掛かるクロユリ。彼女の怒りは止まる事を知らない。そしてその騒ぎを聞きつけ魔獣とルーガとディアボルスがやってきた。
「あれ？？楽しそうだねクロユリ！僕達も混ぜてよ！」
「………………狩る」
「ハァ…ハァ…あぁ、こいつら人間のくせに正義を語るのさ。胸がゾワゾワするよなぁ？」
「へぇ…正義なんて戯言、人間っぽいなぁ………」
ディアボルスは口を抑えてクスクス笑う。
しかし子供の様に無邪気に笑っていると思えば、笑いを止め彼ら見据えて言った。
「僕はその誰かの正義で殺されたのに」
ディアボルスの骨格が著しく変わっていく。
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作者名：ミミック | 作者ホームページ：https://twitter.com/neidangel
作成日時：2018年8月4日 21時
