1話 御伽話の国 ページ2
「…新しいメールが来たよ」
アジトに戻って数日。ハニメ王国の戦いで消耗したあれこれや、新メンバーである『キチ』に改めて自分達の目的について説明したり。そうやって過ごしているうちに、アクアのPCにいつもみたく連絡が来たようだ。
「今度は一体どこなのかな？」
ミクオはノートパソコンの画面を掴み、無理矢理開いて覗き込んでいる。
「あーっ！！もうやめろって！！変な方向に開くな！！！修理するの面倒くさいんだぞ！！」
メールの内容はこうだ。
【全くもう、君達がのんびりしてる間にこちらではすっかり用は済んじゃったよ！！
改めて拝啓Neid Angelの皆様、ご機嫌麗しゅう！僕です、私です、オイラです、某です！
日々ご健勝の事と存じますが、一体何のんびりしてるんですか？？皆様がのんびりしている間に、1つの世界が崩壊に追いやられました！！場所はそう、ミリター帝国っていう国なんだけど………ちょー面白いよ！行ってみてね！】
なめた口を聞きやがって。一同は揃って同じことを考えていた筈である。
「なにこれ？どういう事？」
「また異変が起きている事は分かったが………ミリター帝国って、ジークの中の御伽話の中の国じゃなかったか？」
王国司書であったキチはふと昔読んだ本の記憶を呼び起こした。
アクアは今まで調査していたジークのデータをサルベージしたところ、それと思われる文献が表示された。
『ミリターの彫物』というタイトルの絵本。
「実在してるんじゃなくて空想の国って事？」
「そうなんだよ、調べたんだけどどうやら伝説になってる国を元に作った本みたいで…」
「でもさ〜、本当にあるかもしれないよね？」
ミクオは目をキラキラさせながらワープホールを指差した。
「ったくよぉ…探検しに行くんじゃないんだぞ」
人命が掛かっている中、油断は出来ない。
偶像でも実像でも関係無いのだ。
少年少女はそれぞれの思いを胸に新たな世界へ足を踏み入れる。
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作者名：ミミック | 作者ホームページ：https://twitter.com/neidangel
作成日時：2018年8月4日 21時
