7. ページ36
ガラッと勢いよく美術部のドアを開ける。
「…あれ、先輩？」
るるちゃんがびっくりした顔でおれの方を振り返った。
「どうしたんですか？」
「……コンクールの結果が、返ってきたんだ」
おれは躊躇うことなく本題を彼女に告げる。
ピク、とその言葉を聞いてるるちゃんは眉を寄せると、控えめに俯いた。
そんな彼女に、おれはゆっくりと近づいていく。
近づいて、そしてるるちゃんの身体がふるふると震えているのが分かった。
「ど、でしたか…？」
パッと顔を上げておれの方を見る彼女の目も
少し微笑んだ唇も
おれに向けられた言葉も
全てが震えているように見えた。
「あのね」
「優秀賞、もらったんだって」
「……っえ？」
大きく開かれるるるちゃんの瞳。
せめて、賞をもらえていれば。と願ったときに先生が言った言葉は。
"優秀賞だってよ、オマエの絵1位だったんだと"。
おれも嘘だ、って思った。
でも当たり前だけど先生が嘘なんて言うわけなくて。
「おめでとうございます」
るるちゃんが嬉しそうに目を細めた。
「ありがとう」
それに、おれも笑って言葉を返した。
「ねぇ、るるちゃん」
「はい」
「あのこと、覚えてる？」
「……はい、覚えてますよ」
「そっか。ちゃんと今日までおれのるるちゃんだった？」
「っ、ちゃんと、先輩のものでしたよ…」
おれとるるちゃんの目がパッチリと合って、ほんの一瞬だけ時間が止まったような気がした。
この気持ちを言葉にするんだ。
この気持ちを彼女に、おれの言葉で。
「るるちゃん」
「……はい、何でしょう先輩？」
「おれ、るるちゃんのことが好きだよ。良ければおれと付き合ってください」
その告白にるるちゃんは涙をぽろぽろと流して。
「…私も、先輩のことずっと好きでした」
おれの大好きな笑顔で、きゅっと笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんみつ(プロフ) - まゆさん» わわ、2度目のコメントありがとうございます〜！！リーダーのお話はかなり悩んで、「本当にこんなんでいいのか〜！？」って思いながら書いてたので(笑)、そう言っていただけてすごく嬉しいです！わ〜ありがとうございます；；次回作も頑張ります(^^)♪ (2017年8月23日 20時) (
レス) id: 31751adb24 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます♪どのお話もそれぞれが本当に「らしく」て、楽しく読ませていただいたのですが、個人的には智くんのお話すごく好きです！翔担なのに！笑 ここの更新いつも楽しみでした。次回作もお邪魔させてもらいますね☆ (2017年8月22日 23時) (レス) id: 14ffa4c385 (このIDを非表示/違反報告)
anmitsu(プロフ) - まゆさん» まゆさん、初めまして！コメントありがとうございます！わ〜〜〜嬉しいお言葉ありがとうございます；；二宮さんの方もきゅんきゅん出来るよう、頑張って書きますね(^^)読んでくださりありがとうございます〜！ (2017年7月30日 20時) (レス) id: 31751adb24 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - はじめまして、まゆ と申します。翔さんのお話、楽しく読ませていただきました！ 不器用だけど一途な翔さんと素直でまっすぐな彼女、素敵なカップルですね！しっかりきゅんさせてもらいました♪二宮さんのお話も、楽しみにしてますね！ お邪魔しました！ (2017年7月30日 18時) (レス) id: 14ffa4c385 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんみつ
| 作成日時：2017年7月29日 0時
