7. ページ14
ぱちぱち、とオレの言葉を聞いてキミが瞬きを繰り返す。
「ぜ、全部……？」
「そ、ゼンブ」
「全部、って…どういうこと…？」
首を傾けてオレの顔を覗き込むようにしてじっと見つめられる。
「そうだなぁ」
そうだね。
「心と身体だけじゃなくて」
そうだよ。
「Aの名前も、家族も、人生も。ゼンブ」
その言葉を聞いてキミの目に涙がじわ、と浮かぶ。
「名前はぁ、オレのモノになったら二宮Aになるでしょ」
「っか、家族なんてもらってどうするの」
「Aの兄弟はオレの兄弟になるし、親はオレの親になる。
そんでお義父さん、お義母さんって呼ぶ」
「なにそれ」って笑いながらキミはどんどん目に涙を浮かべていく。
オレは「ちょっと待って」って言って部屋に入って
悩んで買った指輪の箱を手に掴んで。
キミのいるところに戻ると、よいしょ、って隣に座った。
「A」
指輪の入った箱を目の前に差し出す。
「これからもずっと、オレの傍にいて」
くしゃ、ってその言葉でキミの顔が歪んで。
浮かんでいた涙はポロポロとこぼれ落ちる。
そんなキミの左手を掴んで、薬指に指輪をゆっくりと嵌めた。
…うん、最高に似合うよ。
「かずくんの誕生日なのに、私こんないいモノ貰っちゃっていいの？」
泣きながら指輪を見つめるキミ。
「なーに言ってんの。オレはAのゼンブを欲しいって言ってんのよ？」
それを聞いてまたぶわ、って涙が溢れ出る。
あーもう。泣きすぎでしょーよ。
泣きすぎて返事が出来ないキミにオレが「Yes？No？どっち？」って聞いたら
「Yesに決まってるじゃん、ばぁか」って途切れ途切れの声で答えた。
「Aのゼンブ、ほんとにもらっていいの？」
「…うん」
「名前も？」
「うん」
「家族も？」
「うん」
「人生も？」
「うん」
「……っA」
ぎゅう、って精一杯キミを抱きしめた。
「痛いよ、かずくん」って笑いながらオレの背中に手が触れる。
左手の方に、いつもはない感触。
…オレがさっきキミにあげた、婚約指輪。
あぁ。何もかもが。
キミの何もかも全てが愛おしい。
オレの腕の中にいるキミが、とてつもなく愛おしい。
やっと。
やっと、キミの全てを捕まえた。
「……ぜってぇ離してやんねぇから。
覚悟しとけよ、A」
オレがそう言うと
キミは愛しい涙と愛しい笑顔を浮かべて
「はい」って答えて、最高に甘くて愛しいキスをオレにくれた。
・・・END・・・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんみつ(プロフ) - まゆさん» わわ、2度目のコメントありがとうございます〜！！リーダーのお話はかなり悩んで、「本当にこんなんでいいのか〜！？」って思いながら書いてたので(笑)、そう言っていただけてすごく嬉しいです！わ〜ありがとうございます；；次回作も頑張ります(^^)♪ (2017年8月23日 20時) (
レス) id: 31751adb24 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます♪どのお話もそれぞれが本当に「らしく」て、楽しく読ませていただいたのですが、個人的には智くんのお話すごく好きです！翔担なのに！笑 ここの更新いつも楽しみでした。次回作もお邪魔させてもらいますね☆ (2017年8月22日 23時) (レス) id: 14ffa4c385 (このIDを非表示/違反報告)
anmitsu(プロフ) - まゆさん» まゆさん、初めまして！コメントありがとうございます！わ〜〜〜嬉しいお言葉ありがとうございます；；二宮さんの方もきゅんきゅん出来るよう、頑張って書きますね(^^)読んでくださりありがとうございます〜！ (2017年7月30日 20時) (レス) id: 31751adb24 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - はじめまして、まゆ と申します。翔さんのお話、楽しく読ませていただきました！ 不器用だけど一途な翔さんと素直でまっすぐな彼女、素敵なカップルですね！しっかりきゅんさせてもらいました♪二宮さんのお話も、楽しみにしてますね！ お邪魔しました！ (2017年7月30日 18時) (レス) id: 14ffa4c385 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんみつ
| 作成日時：2017年7月29日 0時
