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踠いても、
足掻いても、
智は、見つかりやしない。
汗臭いおっさんに押されて嫌な気分になった。変な男の人の肘アタック食らって嫌な気持ちになった。
なんで?智がいたらこんなの起こんなかった。
今気づいた。
それは智が守っていてくれたからだってこと。
平然な顔して私に害がないように守っていてくれたんだ。
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でも時間的にもうそろそろ花火が打ちあがってしまう。
ドラマなら、少女漫画ならここで好きな人とかが「A!」なんていって見つけた。とかキザなセリフ言うところだけど
生憎見つかるあてがない。
視界全て人、人、人。
その中に智が飛び込んで来たなら話は別。
でも多分、智は前の前の方に押されていってしまっている。
私はそれを頑張って追っているだけ。
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そんなこんなでただ歩き続けてもこんな人混みじゃ智は見つかるわけなくて。
手に握りしめたりんご飴の棒が徐々に手汗で濡れてく。
早く私を見つけて。一緒に花火見たい。と言う気持ちだけが溢れてくだけ。
カバンについている、青いお守りを握り締めた。
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どこかで「A」と呼ぶ声が聞こえる。
…でもそれは私と同じ人の名前が呼ばれただけであって智の声ではない。
そんなの知ってるけど、...少しだけ期待してしまった。
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早く見つけて欲しいという気持ちも虚しくあと5分で花火が打ち上がるという残酷なアナウンスがこの会場に木霊した。
たった5分じゃ智を見つけることなんてできるわけない。
悲痛な、花火の打ち上がる音が身体中に響き渡った。
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『…っ』
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目に飛び込んだのは、カラフルな色たち。
目が潤んでなかなか形そのものを捉えることができない。
全てがぼやけて見える。
それに人混みに紛れてるからそもそも見づらい。
最低最悪の夏祭りだった。
隣に智がいれば。
隣に好きな人さえいれば。
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行きたくなかった。
こんな夏祭り。
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ただただ祈った。
早く、来て。と。
指と指を交差させて、強く拳を固めて。
涙を、こぼしながら。
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パラパラと火花が落ちてく様を見届けた。
腕を掴まれた衝動が体全体を巡った。
それは、刹那の出来事だった。
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あんみつ(プロフ) - まよゆりさん» ニノちゃん、めっちゃアピールしてたんですよー(●´艸`)キュンキュンしていただけて嬉しいです!ニノちゃんの告白と共に貰ったボタンはきっと家宝になります!(笑) (2018年4月21日 22時) (レス) id: 20e1b06e4d (このIDを非表示/違反報告)
まよゆり(プロフ) - 高校生ならではの初々しい甘さが、良い!結構アピールしてたニノちゃん。卒業で気持ち繋がって、くすぐったいくらいのきゅんきゅんでした。甘〜良いニノちゃん大好き。 (2018年4月21日 17時) (レス) id: 03a65969ea (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - えりさん» キュンキュンしていただけて良かったです(*´ω`*)一途なニノちゃん、書くの凄く楽しくて…自分でも書いてて「こんなセリフ言われたらキュンってしちゃう…!」って思う部分があったり(笑)こちらこそ、読んでくださってありがとうございます(*´ω`*) (2018年4月21日 16時) (レス) id: 20e1b06e4d (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 一途な高校生二宮くんにキュンキュンさせてもらいました(^^)ありがとうございます(^^) (2018年4月21日 14時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんみつとなるせ x他1人 | 作成日時:2018年3月16日 16時