・ ページ20
「深呼吸……」
ちゃんと言わなきゃ。
「好きです」って、伝えなきゃ。
「…よし」
もう、後悔はしたくない。
学校を出ていても、今から頑張って走れば二宮くんに追いつくと思う。
もう一度、すぅぅって大きく息を吸って
ドアを開けようと手を伸ばすと。
.
「あ、居た」
「……二宮、くん？」
私が開けるより先にドアが開いて
向こう側には二宮くんが立っていた。
「探したー、もう」
「え…？」
「帰ったのかと思ったら、まだ靴があんだもん」
「まだ教室に居てよかった」って二宮くんが言った。
「ま、帰ってたら家まで押し掛けてたけどね」
「えっと、なんで…？」
「手ぇ、出してみ？」
よく分からないまま、言われた通りに手を差し出す。
「ん」って二宮くんの拳が手のひらに乗った。
「これ、あげる」
コロン、と手のひらに何かが落ちる。
「Aに貰って欲しいんだけど」
二宮くんが手を退けると、そこにはボタンがひとつ。
「オレの第二ボタン」
「…女の子たちにあげたんじゃないの？」
「ん？なんで？」
「だって…取り合いだったじゃん」
それに二宮くんはフハッ！って笑うと
「でも第二ボタンって、好きなコにあげるモンなんでしょ？」と微笑んだ。
「え、今、なん、て…」
思いがけない言葉に、私の鼓動が速くなる。
「A」
「…は、い」
体が熱い。
ぎゅう、って手のひらで二宮くんがくれたボタンを握り締めた。
静かに、次の言葉を待つ。
「好きだよ」
「あのお日様みてーな笑顔見てから、ずーっと…好きだった」
気がついたら、二宮くんの腕の中に居た。
トクトクって心臓の音が鮮明に伝わってきて
二宮くんの心臓の音が聞こえてる…って思うと、嬉しさで胸がキュウウッて締まった。
「オレの、彼女になってくれませんか」
知らなかった。
こんなに、ドキドキするなんて。
心臓がうるさい。
好きな人に抱き締められると
こんなにドキドキするなんて、知らなかった。
幸せな気持ちでいっぱいになる。
幸せで…溶けてしまいそうになる。
「…っつっても返事はもう知ってるけどね」
「え…？」
そう言った二宮くんは
「ンフフ」って私の大好きな笑い方をして
「だってA、オレのコト好きでしょ？」
私の手を取って、するりと指を絡めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんみつ(プロフ) - まよゆりさん» ニノちゃん、めっちゃアピールしてたんですよー(●´艸`)キュンキュンしていただけて嬉しいです！ニノちゃんの告白と共に貰ったボタンはきっと家宝になります！(笑) (2018年4月21日 22時) (
レス) id: 20e1b06e4d (このIDを非表示/違反報告)
まよゆり(プロフ) - 高校生ならではの初々しい甘さが、良い！結構アピールしてたニノちゃん。卒業で気持ち繋がって、くすぐったいくらいのきゅんきゅんでした。甘〜良いニノちゃん大好き。 (2018年4月21日 17時) (レス) id: 03a65969ea (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - えりさん» キュンキュンしていただけて良かったです(*´ω｀*)一途なニノちゃん、書くの凄く楽しくて…自分でも書いてて「こんなセリフ言われたらキュンってしちゃう…！」って思う部分があったり(笑)こちらこそ、読んでくださってありがとうございます(*´ω｀*) (2018年4月21日 16時) (レス) id: 20e1b06e4d (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 一途な高校生二宮くんにキュンキュンさせてもらいました(^^)ありがとうございます(^^) (2018年4月21日 14時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんみつとなるせ
x他1人 | 作成日時：2018年3月16日 16時
