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「先生。」
「マッキシマム‼」
「先生。」
「ぬおう、アベシソワカ‼」
蝋燭に灯された部屋の中で見目麗しい赤い髪の青年が部屋の真ん中で狂ったように仮面をつけて踊る男に白い目を向けた。
他人の顔をしたいが、いかんせん自分たちしかいない空間で誰に言い訳をすると言うのだろうか。この思考に至った時点で虚しいものを感じてしまう。
羽羽方日向、青年という見た目よりも少年といっても違和感はない姿をした美青年。
この部屋の中で原始的な祈りを捧げている羽羽方麻柊の養子であり、今この場にはいないが陽乃芽の義兄にあたる人物である。
ただし女顔と言ってはいけない。
穏和な彼も殺人も辞さない構えを取るので要注意だ。
「えーそこは“お父さん“て呼びなよー。」
(えーも何もその狂人するのは流石に息子としてやめて欲しいんだよ。)
そんな思考を微塵も感じさせない笑顔を作る。
「そろそろ陽乃芽に反抗期が来ますよ。
“パパの馬鹿ー!“って。」
君地味に声真似が上手いねと言われ日向はありがとうございますとお辞儀する。
麻柊は息子として扱ってはいるものの日向はどこか一線を引いてしまっている。
「噂をすればなんとやら。出迎えに行って参ります。」
「よろしくね。」
「例の件も叶いそうです。早ければ今日にも。」
日向は部屋を出て一回に降りて玄関に出る。
この家に来て10年になるが義妹は特殊な体質であるが故にその体から発する波動は一般人とさはあれど、もう一つ得意な魔力を感じた。
義妹が太陽に堂々咲き誇る一歩手前の蕾ならば、それはさながらはっきり見ようと思っても届かない朧月。
「お帰りなさい、陽乃芽。」
「ただいま、お兄ちゃん!」
そう手書きのメモを差し出せる。
義妹は声が出せない、というか発声すると声が炎となってあたり一面を焦土と化してしまう。
大した身長差も年齢差もない褐色の少年を何時ぞやに教えた護身術の関節技で締め上げている。
なんだこれは。
「え、えーとその少年はどちら様かな?」
隣には義父がいる。せめて着替えて欲しかった。
「我が名はイムホテプ。
砂漠と黄金の都からこの島国にやってきた。
今よりここは俺の家だ!」
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作者名:not厨二病者 | 作成日時:2021年1月3日 13時