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「姉さん、起きろって。
学校に行くんだろ?」
あと5分…タオルケットの中で彼女は転がった。
そんなだらけきった女を見てため息をついた男は容赦なくタオルケットをひっぺがした。
「はっ! ハゲの数学教師のヅラが暴かれた‼」
「…どんな夢見てんだよ…、ほら飯できてるぞ。
顔洗ってこい。」
「はーい。」
「返事は短くしろ!」と後ろから言われて女は「オカンだな」と思ってしまったのはあえて口には出さない。
顔を洗い終えて食卓を見れば栄養バランスの良い朝食と弁当が並んでいた。
「うわー私、女として負けてるわ。弟に。」
この男女、顔は似ても似つかないが正真正銘の姉弟である。
姉は日本人らしく黒い髪、弟は空色の髪をしている。
唯一似ているといえば瞳が青系の色であるというところだろうか。
「今日進路相談あるから遅くなるよ。」
「そうか。」
「あーそうそう。ハルちゃん。」
「ん?」
「もしかしたらあっちでも言われるかもしんないけど、新人来るんだって。
前の職場の先輩から連絡が来てた。」
「前の職場の先輩…」そう呟くと普段ハルちゃんと呼ばれると眉間の皺をやや寄せるだけでなのに、顔全体に不機嫌なオーラを出しまくる。
「あんの野郎…」
「おーいハルちゃん?
顔が怖いぞー。姉ちゃんちょっとちびりかけた。」
下品。
女性としてその言い方はいかがなものか。
これもまた姉貴の魅力の一つなんだろうなーと明後日の方向に視線を向けた。
この姉、長いこと海外に居たのだが向こうでも人をたらし込んできたらしい。
さらに無自覚であることがこの上なく恐ろしい。
いつのまにか姉は食べ終えて行ってきますと慌ただしく家を出た。
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作者名:not厨二病者 | 作成日時:2021年1月3日 13時