・ side Kai ページ38
消灯時間時間ギリギリまで掛かった説明。ジロちゃんと部屋に戻る途中、これからの模擬捜査の方法について色々考える。
……にしても、結局Aと橘は最後まで戻って来なかったな。Aに送ったメッセージも未だ既読が付かないままだ。どちらにせよ、Aからの『話』は今日聞けそうにない。
部屋に戻ったら電話でも掛けるか。そう思いながら扉を開けると、
「何だ？ これ……」
扉の向こうの光景に、思わず足を止めた。
315号室の部屋の窓。そこには赤い文字で、
『スコップ男の事件から手を引け』
というメッセージが残されていた。
どういうことだ……？
弾かれたように窓に駆け寄るジロちゃんについて、２人でガラス窓の前に立つ。
ところどころ雨で赤いインクが垂れているところを見ると、どうやら部屋の外から書かれたものらしい。
それ以外の情報は何も読み取れなくて、この気味悪いメッセージをどうすればいいのか分からず立ち尽くす。とりあえず教官に連絡、と思いついた時、
「カイ君あれ見て！！」
ジロちゃんがガラリと窓を開けた。
言う通り窓の外を見ると、中庭に立っていたのはレインコートにスコップを持った人の姿。
……まさか、アイツがスコップ男なのか？
レインコート姿の人物は、俺達が部屋からこちらを見ている事を確認すると門の方へと走り出した。
──ヴーッ ヴーッ
突然鳴り出したバイブ音。ジャージのポケットから震えるスマホを取り出すと、画面には『着信：A』の表示が出ていた。
「もしもしA!?」
『カイ君っ!? あのね、今部屋に戻ったら、窓に、』
『赤い文字で、「スコップ男の事件から手を引け」って』
スマホから聞こえてくるのは初めて聴くAの震えた声。Aの部屋にも同じ文章が？ それを聞いたジロちゃんは、弾かれたように部屋の外へ走り出す。
「今、スコップ男と同じ格好をしたやつが中庭に居た」
『えっ？』
「Aは部屋にいろ！」
そう叫んで、俺も部屋の外へと飛び出した。
「はぁっ、はぁ！」
２階から駆け下りて寮の玄関を出ると、激しい雨の降る外にはもう人の姿は無かった。
雨に打たれながら、スコップ男の格好をした人物が走って行った方向を見る。……くそ、せめて１階だったら。
「カイ君、今のって……」
「ああ、確かにそうだった」
スコップ男が、俺達に警告している？
Ep.8：明日は輝く end.
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弥生(プロフ) - 三神奈津美さん» いつも読んでくださりありがとうございます( ´ ▽ ` )ﾉガードわんこもつけ麺も可愛かったですよね(^^)そんなこと言われちゃうと書いちゃいます…8話では難しそうなので9、10話のどこかにねじ込もうかな。これからもお付き合いください( ´ ▽ ` )ﾉ (2020年8月26日 0時) (
レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
三神奈津美(プロフ) - いつも拝見させて頂いています。私も"ガードわんこ"好きなので、ぜひ弥生さんの作品の中でも見たいです！ (2020年8月25日 14時) (レス) id: 7b45036589 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年8月14日 17時
