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「俺は隠れてなんかない!!!」


 晴至さんの必死の叫びが、2階から聞こえてくる。

 隠れてない……なら、何か見たのかな。それとも、そう思いたいだけ?

 晴至さんが走っていった階段を見つめながらそんな事を考える。

 3人とも呆然と階段を見つめていると、騒ぎを聞きつけた稲西刑事が「ちょっと、何してんの!」と声を荒らげた。


「あっすいません、自分はただ……」


 そう話すカイ君の襟元がぐい、と勢いよく引っ張られる。

 驚いた表情で稲西刑事を見返すカイ君。私とジロちゃんは、息を潜めて成り行きを見守るしかない。


「立場をわきまえなさい! あなたは人の心ってのが分からないわけ!?」


 稲西刑事の言葉に、カイ君の目が自信を無くすように泳いでいく。


 正直、痛い言葉だった。

 人より頭の回転が早いカイ君だからこそ、導き出した答えを元に晴至さんを励ましたかったのだと思う。……もしかしたら、自分と似た過去を持つからこそ重ね合わせてしまったのかもしれない。


「……交番に戻りなさい」


 稲西刑事は静かにそう言うと、捜査に戻っていく。


「はい!」

「はい」

「はい……」


 いつものハキハキした声じゃなくて、沈んだ声でカイ君が返事をする。

 そんなカイ君を、ジロちゃんは心配そうに見つめていた。





「はぁ……」


 カイ君がため息をつく。稲西刑事の言葉と、自分の行動が相当刺さったに違いない。

 なんて声を掛けようか、と悩んでいると「本間!」とカイ君を呼び止める声が聞こえた。


「どうして犯人が2人組だと分かった?」


 振り向くと、柳田警部補の姿。いつもは元気な柳田警部補が、今日はとても静かだ。その姿にも不思議に思いながら、カイ君の返事を聞く。


「チラシには2種類の靴跡が付いていました。先日奪われた拳銃も2丁です。2人組による犯行だと考えるのが妥当です」

「そうか。うん……行け」


 元気の無いカイ君に、これまた覇気のない柳田警部補。「失礼します」と敬礼をして歩き出す。


「あ……ちょっと待てお前ら」


 柳田警部補がすぐに私達を呼び止めた。振り向くと、顔を顰めたまま口を開く。


「あんま危なかっしい真似すんなよ? 死ぬぞ」


 なんとも恐ろしい忠告。「はい!」とジロちゃんとすぐに返事をして敬礼をする。


「あ……はい!」


 一瞬、それを横目でぼんやりと見ていたカイ君も慌てて敬礼をした。


「連れてけ」

「はい。……行くぞ」

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弥生(プロフ) - 三神奈津美さん» いつも読んでくださりありがとうございます( ´ ▽ ` )ノガードわんこもつけ麺も可愛かったですよね(^^)そんなこと言われちゃうと書いちゃいます…8話では難しそうなので9、10話のどこかにねじ込もうかな。これからもお付き合いください( ´ ▽ ` )ノ (2020年8月26日 0時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
三神奈津美(プロフ) - いつも拝見させて頂いています。私も"ガードわんこ"好きなので、ぜひ弥生さんの作品の中でも見たいです! (2020年8月25日 14時) (レス) id: 7b45036589 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弥生 | 作成日時:2020年8月14日 17時

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