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・ side Jiro ページ15

学校の門をくぐり抜けた時、空はオレンジ色に染まっていた。

 もう何度聴いたか分からないサイレンの音。どうやら、天満姉弟は外に出たようだ。


 なら、まだギリギリ間に合う……!?


 もう肺も足も限界だったけど、必死に全身を動かしてちらりと見えた背中を追いかける。




「──天満さん!」


 そう2人の背中に叫べば、横からやってきた刑事がオレの身体を抱きとめた。

 この先へは進ませないというように、もがくオレの身体を押さえつける。


「すいませんでした! 頼まれたこと……上手く出来ずにすいませんでした!」


 割れてしまった白いケータイ。オレがもっと強くて、あんな変なヤツらすぐに撒くことが出来ていれば、この結末は変わったかもしれないのに。


「でも絶対オレが……!


 オレとカイ君とAが、お父さんの無実を晴らしますから!」


 手首に黒い手錠を嵌めた2人が、静かな表情でこっちを見ている。

 この決意ごと届くように、必死に叫んだ。まだオレ達は諦めてないから。だから、天満さん達も諦めて欲しくなかった。

 今日は解決出来なかったけれど。でも。


 そっと、姉弟が視線を合わせた。ぽつりぽつりと話している内容はオレの所までは届かなくて。

 信じてもらえないだろうか。警察への恨みが増えただけ?

 でも、オレ達は必ず約束を守る。だから。



 祈るように見つめる視線の先、智也さんが静かに頭を下げた。それから、直子さんもそっと頭を下げる。

 その表情は、怒りを浮かべているわけでも悲しみを浮かべているわけでもなく、静かな表情だった。

 けれど、両隣の刑事に促される最後まで、2人は強い視線でオレを見つめていた。

 ……もしかしたら、少しは信じてもらえたのだろうか。そんなふうに感じるのは、オレの気のせいだろうか。


 サイレンを鳴らして遠ざかっていくパトカーを、静かに見送る。

 こんなにやり切れない事件の結末は、初めてだった。














「──あいつらと同じこと言ってる」

「あの3人が、9年前も居てくれたらね」


 次郎の言葉に、姉弟は穏やかな笑みを浮かべながら視線を合わせ。


 それから、祈るような気持ちで頭を下げた。

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弥生(プロフ) - 三神奈津美さん» いつも読んでくださりありがとうございます( ´ ▽ ` )ノガードわんこもつけ麺も可愛かったですよね(^^)そんなこと言われちゃうと書いちゃいます…8話では難しそうなので9、10話のどこかにねじ込もうかな。これからもお付き合いください( ´ ▽ ` )ノ (2020年8月26日 0時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
三神奈津美(プロフ) - いつも拝見させて頂いています。私も"ガードわんこ"好きなので、ぜひ弥生さんの作品の中でも見たいです! (2020年8月25日 14時) (レス) id: 7b45036589 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弥生 | 作成日時:2020年8月14日 17時

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