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「では、銃を」
教官が智也さんに手を差し出す。直子さんが微笑み、智也さんは静かに銃を渡そうとした。
ヴーッ
その瞬間響いた振動音。即座に智也さんが銃を片野坂教官に向ける。
「待ってくれ……どうした？」
電話に出た教官が、何か話すとスマホを耳から離す。
「スコップ男の事件に進展があった。……もう一度頼む」
スピーカーにされた通話。指紋の判定結果が出たのかな。期待を持ちながら通話の続きを聴く。
『遺留品を鑑識に回した結果指紋が検出され、スコップ男の正体が分かりました。
──県内在住学生、松波隼人。年齢は20歳』
……え？
「20歳……？」
『９年前は、11歳です。松波は犯罪心理学を専攻し、９年前のスコップ男の事件に興味を覚え、どうしてもマネしたくなったそうです』
……つまり、模倣犯。そんな。
思ってもいなかった展開に、片野坂教官もカイ君も言葉を失っている。
ダン！ と苛立ちをぶつけるように智也さんが机を叩いた。教室内の空気が一気に重たいものに変わる。カイ君が、はぁ、とため息を着きながら額に手を当てた。
『万引きの前科はあるものの残念ながら松波はただの模倣犯。９年前の事件の犯人とは別人です』
「はあ……」
通話が切れた。片野坂教官がため息をつきながらスマホをポケットにしまう。
これからどうすれば。恐る恐る智也さんに視線を向けると、その隣、俯いた直子さんが「外へは出ない」と小さく呟いた。
「あなた達の友達を待つ。せめて父の無罪が分かるまで」
直子さんが私たちを見つめてそう言った。
……及川助教の事を思うと、１分でも早く出たい。けれど。
直子さん達の事を考えると、何も言えない。
ただ、２人を見つめ返していると、教卓の上のスマホが振動した。カイ君のスマホだ。
直子さんがスマホを手に取るとカイ君に渡す。画面には『着信 ジロちゃん』と表示されていた。
「……ジロちゃんから」
「皆で聴けるように」
頷いたカイ君が、スピーカーにして電話に出る。
「もしもしジロちゃん？」
『カイ君、A……ごめん……』
「どうした？」
『オレ、変な男たちに襲われて……』
「襲われた？」
どうして？ カイ君がきゅ、と眉を上にあげる。『天満さんの無実の証拠が……』とジロちゃんの声が続いた。
『ダメになった。襲われた時に壊された』
そんな。
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弥生(プロフ) - 三神奈津美さん» いつも読んでくださりありがとうございます( ´ ▽ ` )ﾉガードわんこもつけ麺も可愛かったですよね(^^)そんなこと言われちゃうと書いちゃいます…8話では難しそうなので9、10話のどこかにねじ込もうかな。これからもお付き合いください( ´ ▽ ` )ﾉ (2020年8月26日 0時) (
レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
三神奈津美(プロフ) - いつも拝見させて頂いています。私も"ガードわんこ"好きなので、ぜひ弥生さんの作品の中でも見たいです！ (2020年8月25日 14時) (レス) id: 7b45036589 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年8月14日 17時
