彼から見た彼女:sideスコッチ ページ10
sideスコッチ
最初は疑ってばかりだった。
俺はカルバドスに、怪我が治るまでセーフティハウスから出てはいけないと言われた。
そして怪我が治ってからは変装術を叩き込まれた。
もちろん、誰かソックリに化けて成り代わるなんてのは俺には無理だから、架空の人物に変装したさ。
誰かに成り済ますなんて普通無理だろ?
並外れた演技力と記憶力、さらには頭の回転の速さだって必要なんだぞ?
だから、残念そうな目でこっちを見るなカルバドス!
おかしいのはお前だから!
はあ、全く……。
なんとか赤の他人に変装できるようになると、今度はいろんな任務の準備やら情報収集やらでこき使われるようになった。
こいつ、ただ仕事を任せられる部下が欲しかっただけなんじゃ……と疑ったことは一度や二度じゃない。
でも、こうしてカルバドスの部下として働く内にわかったこともある。
それは、この一見軽薄そうに見える人物が、意外とお人好しだということだ。
例えば、組織のしたっぱ達と任務をすることになった時、一人がミスをして警察沙汰になりそうなところを、カルバドスが持ち前の変装術で切り抜けた。
そして、この世の終わりみたいな顔をしているしたっぱに、
貴『次も僕がいるとは限りませんから、これっきりにしてくださいね?』
と、アフターケアまでバッチリだった。
あのしたっぱ(男)、変な扉を開いてないといいけど……。
カルバドスを観察していると、そんなことがよくある。
他の短気な幹部をさりげなくなだめて、したっぱへ八つ当たりが行かないようにしたり、問題行動を起こしそうなヤツにはそれとなく注意したり、うまく組織内を調整している。
そんなことをしているからか、意外にもカルバドスという存在は慕われていた。
本人は気づいていないようだが……。
最近知ったんだが、カルバドスのファンクラブまであるらしい。
黒の組織へのイメージが一気に壊された気分だ。
この前は遊園地のお土産まで配っていて。貰ったしたっぱ(多分ファンクラブ会員)は感激のあまり泣いていた。
そんな完璧とも言える仕事をするカルバドスだが、俺や小野田さんの前で変装を解いている間はどこか抜けている行動をとる。
姿の変化もあって、本当に同一人物かと疑うくらいだ。
変装を解いている間のあいつは、どこかほっとけないんだよな。
多分、小野田さんもそれは同じだ。
俺は、あいつのことを、
妹みたいに思ってる。
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紅奈虹夢(プロフ) - おもしろ! (6月2日 9時) (レス) @page13 id: 1b7eb8add5 (このIDを非表示/違反報告)
宙 - おっ、終わり!?この物語には主人公の設定などに(自分的に)面白い要素が沢山あります!最終更新から何年経っていたって遅くはありません!!今も名⚫︎偵コ⚫︎ンという作品のファンは沢山いますし、私は続きが読みたいです!どうかお願いします! (2022年10月19日 21時) (レス) @page13 id: 9863001551 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 嘘やろ!?終わり!?ウッウゥ〜〜続きをお恵みください〜! (2022年2月1日 15時) (レス) @page13 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
れいん - とても面白かったです!できればでいいんですが、続きを書いてもらえませんか?お願いします! (2021年6月20日 14時) (レス) id: 127451ccf1 (このIDを非表示/違反報告)
かのん - 本当に面白かったです!お願いします!!続きを書いてください!ずっと待ってます! (2021年6月16日 16時) (レス) id: 2070b7b634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:金鳥 | 作成日時:2017年4月23日 14時