ねえ、拐ってよ 【怪盗キッド】

拐ってよ。１９ ページ19

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ある日の夜。
いつものように、ビール片手に大好きなドラマを見ていると、急に番組が変わって、ニュース速報になった。



『本日！こちらのマンションに怪盗キッドが現れました！予告なしです！一体どんなお宝が…』


へぇ、マンションに怪盗キッドが…



「…ってあれ！？う、家じゃん…！」



私は驚いてしまって思わず窓を開けてしまった。
今思えば、このときの私は大馬鹿だった。



「きゃっ…？！」



強い風が入り込んできて、思わず目を瞑って後退ってしまった。



「今晩は。我が愛しき姫…」




そう、だってこのマンションには怪盗キッドが来ていたのだから。



「あれ、…お宝は？」


「今、目の前にありまして…ね」


「…は？」


「あなた様を頂戴しに参りました…ｯｯ」


「…もうなんなの…ｯ！？」



奴は手に煙玉を持っていて、私は瞬時に服で鼻と口を覆う。

回りが見えない…ｯｯ
でも大丈夫…落ち着いて、よく見て…集中ｯｯ！




「っ、そこかっ！」



私は出来るだけの力で回し蹴りをする。


「っぐ…！！」


後ろに倒れた筈…
私はすかさず、踵落としを食らわす。


たまたま窓が空いていて、すぐに煙幕が消えた。

私の思っていた通り、床でへばっていた。




「ｯｯ女性なのに…なかなかやります、ね…
　今日のところは諦めましょう…」






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