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「…ゆず、ちょっとお手洗いに行ってくるね。」



柚那「どうした?大丈夫?」



「うん。大丈夫だよ。」









彼から目をそらして、立ち上がる。



みんな盛り上がっていて全く気づいていない様子だったけど、片寄くんは優しく微笑んでくれた。









「……ふぅ、」









お手洗いの鏡の前。




そこには少し頬が赤くなったわたしが映る。



とりあえず手を洗って、ハンカチで手を拭いて、冷たくなった両手で頬を包み込んだ。









「つめたい……、」









最初はどうなることだろうと思っていたのに、なんだかんだで楽しいと思っているわたしがいる。




部署が違っていたり、同じ部署でも話したことがないような人とも話すことができたり、この会社の人はとても温かい人たちばかりで

ああ、どうして今まで避けてきたんだろう…って。



ずっと柚那と敬浩さんが居てくれればそれでいい、なんて言って強がっていた。



わたし、ほんとうに馬鹿だったなぁ……。




軽くリップクリームを塗ってみんながいる所へと戻ろうと歩く、その廊下の途中、


壁にもたれながら携帯を弄る人の姿が見えて。









「……………」









声、…かけた方がいいのかな?とかそんな事を考えながらも、無言で通り過ぎようとするわたし。





そんなわたしに気がついたのか

「ねえ、」


と、控えめに引き止められた。



足を止めて振り返ればその手には携帯は握られていなくて、ただ、じっとわたしのことを見つめる瞳に目がそらせないでいる。









亜嵐「涼太に見に行けって言われて……それで、彼女さんにも見てきてくださいって頼まれて。」



「え、」



亜嵐「…あの、玲於とかじゃなくて、ゴメンね。」









そう言いながら苦笑いを浮かべた。



全然、そんなことは思っていないのに、本当に申し訳なさそうにするからわたしまで申し訳なくなる。




白濱さんって、いつもこんな感じなのかな?



クールというか何も話さないというか、大人数でいるよりも一人でいる方が楽…みたいな、

そんなイメージだから。



だって、たった数時間の彼しか知らないんだもの。









「白濱さんって…お酒は強い方ですか?」









知らないことが多いなら今から知っていけばいいんだよ、っていつか柚那に言われた気がする。


きっと、もっと彼には魅力があるのに知らないなんて勿体無いし、だったら知ればいいんだと思った。









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作者名:ピノ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mim05  
作成日時:2018年3月20日 4時

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