ひとりぼっち 2 ページ17
*
「い、や……嫌だ!…消えたく、っない」
その悲痛な叫びは、私にも聞こえないくらいの小さすぎるモノだったから、きっと誰にも届いてはいないだろう。
もう、泣けばいいのか、情けない自分を嘲笑えばいいのか、よく分からなくなった。
ゴーストの身体が意図せず消えていくのは、それはもう成仏間近であるということ。
自分の未練がなんなのか未だに私にも分からないけど、今、未練がなくなったわけではないという事だけはハッキリと分かっている。それなのに、
「何で、っ消えるの!」
気のせいかもしれないけど、どんどん身体が透けていっているようにも見えた。
迷宮に放り込まれたみたいに頭が混乱し始める。
だめ。私にはまだ未練がある。こんなところで消えてなくなるなんて嫌だ。
「未練が……っ、パパ?」
混乱する頭の中に、もうダメかもと諦めの気持ちがすうっと出てきた、その時、ふと父の顔が頭に浮かんだ。
胡散臭い笑顔を浮かべた父の顔。
少し腹立たしい笑顔だけど、その大好きな人の顔が私を奮い立たせた。
動いてくれなかった足が、今はもう動く。
今なら鏡を抜けれる、そう思って勢いよく振り返って地面を蹴った。でも次の瞬間、
「──っゔ?!」
何か、いや、誰かの身体にぶつかった。
その衝撃に跳ね返されそうになる。だけど、そのぶつかった相手が瞬時に私の背中に腕を回してくれたおかげで尻もちをつく事は間逃れた。
でも、
「え…?なんで…」
そのぶつかった相手は私を解放してくれなくて、私はなぜかそのまま抱き締められている。
どうして私が見えてるの。どうして私に触れるの。どうして私を抱き締めてるの。というか、誰!?
おかげで恐怖はなくなったし涙も引っ込んだけれど、先程とは違う内容で頭が混乱しそうになってきた。
少しだけ息を乱したその人は私を抱き締めたまま、まだ何も言葉を発さない。
せめて、と顔だけでも確認したいところだけど、背中と後頭部辺りに腕を回されているからそれすらも出来ない。今、私の耳に入るのはその人の少し乱れた息とドクドクと速い心臓の音。
本当にどうしよう、そう思っていると、漸くその人が声を発した。
小さくて短い言葉だったけれど、ちゃんとそれが私の耳には届いてきて。その声を聞いて、嬉しさで胸が苦しくなった。
普段のこの人からは考えられないような安堵のこもった声。
そしてその声が、今一番私が求めていた言葉をもう一度くれた。
「……みつけた」
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塩(プロフ) - コメント失礼致します。ゴーストちゃんと生徒たちの関係性がとても可愛くて続きが気になります!ゴーストちゃんにはいろんな愛を感じて幸せになってほしい……!お身体に気をつけて、無理せず更新頑張ってください!応援しています! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 791ebcf5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話し続きが気になる (2020年6月28日 15時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくる | 作成日時:2020年6月26日 18時