お誘い 2 ページ14
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オクタヴィネルの寮は海の中にあるとか、スカラビアの寮は暑い砂漠地帯にあるとか、この学園の寮は建物やその周りの環境もグレートセブンをそれぞれモチーフにした物だという話は以前ケイト君に聞いた事がある。
凄いなぁ、行ってみたいなぁとは思うけれど、私は、空間転移魔法が出来る鏡というものに抵抗がある。理由はエース君にも話した通り、成仏してしまいそうだから。私だけ潜った瞬間あの世へ行ってしまうのではないか、とか。確証はないしそんな話も聞いた事はないんだけれども……。
まあ、要するに私はこの鏡を使用する事に対してビビっているのだ。この学園に初めて来た時も闇の鏡は使わなかったし……。だから私は今まで生徒寮へお邪魔する事はしなかった。
「おいでよ、A。俺らもいるし怖くないよ。な、デュース?」
「ああ、そうだな。僕達が傍にいますよ!」
私を安心させるためなのか、彼らはそう言って優しく笑う。その言葉と笑顔に私の気持ちが揺れる。
今日はついていない事だらけで気分転換したいし、まだ彼らと一緒にいたいな、なんて。
一度そんな気持ちが芽生えてしまうと、その欲が段々と抑えきれないほど強まってきていた。
「…行ってみようかな」
「おいでおいでー」
だけど、まだ抵抗はある。だから、
「うん。でも…こ、怖いから……手繋いでもらってもいい?」
恐る恐る、二人に向かって両手を差し出した。ゴーストで、しかも二人よりも年上なくせに、何をビビっているんだと笑われるかもしれないけれど、怖いものは怖い。
恥を捨ててそう言うと、二人は一瞬固まった後、すぐに満面の笑みを浮かべて、それぞれが片方ずつ私の手をギュッ握ってくれた。
「反則だわ〜、そういうの!まあでも、Aに言われなくても俺は最初からそうするつもりだったけどね」
「ぼ、僕もです!というか…やっと触れた」
「デュース、なにニヤついてんの」
「ニヤついてない!」
まだ少年らしい柔らかさを残しているものの、ほとんど大人の男性に近い二人のその手は、私に安心というものを与えてくれた。
そして手を引かれるままに私は鏡へと近付く。心臓なんてない筈なのに、ドクドクとそれが早鐘を打っているような気がする。
鏡との距離はあと1メートル。私はギュッと強く目を瞑った。
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塩(プロフ) - コメント失礼致します。ゴーストちゃんと生徒たちの関係性がとても可愛くて続きが気になります!ゴーストちゃんにはいろんな愛を感じて幸せになってほしい……!お身体に気をつけて、無理せず更新頑張ってください!応援しています! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 791ebcf5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話し続きが気になる (2020年6月28日 15時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくる | 作成日時:2020年6月26日 18時