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プロローグ 2 ページ2

*


「私ね、パパの事大好きだよ。パパは、私の事好き?」


なんで、こんな事を訊いたのかは分からない。気が付いたらそんな恥ずかしい科白が口から出ていた。


「──っ!!ええ、ええ。好きです、大好きです。私はAを愛していますよ」


そう答えた父は、今にも泣き出してしまいそうな表情を浮かべていた。

ああ、もう。なんで、そんな顔をするの。私はそんな顔よりも、いつもの胡散臭い貴方の笑顔の方が大好きなのに。つられて、私も泣きそうになり、下を向く。


「A」


うっすらと透けている自分の足元を見つめていると、コツコツと靴音を鳴らし、私との距離を縮めて来た父に名前を呼ばれた。反射的に顔を上げると、仮面の奥の瞳と視線が絡む。


「Aはゴーストとして今も生きている。後ろにいる貴方の肉体は動かないですし、あの瞳は私を映してくれません。しかし、今目の前にいる貴方は私を映してくれている。こうして、言葉も交わす事が出来ている。不謹慎かもしれんが、私はそれが嬉しいのですよ」


フッと自嘲気味に笑う父の言葉に、いよいよ堪えきれなくなって、視界がぼやけ始めた。

俯くと、ぽたぽたと、床に向かって水滴が落ちていく。だけど、ゴーストである私の涙は床に落ちてもそこに染みを作る事なんてなくて。ああ、私は死んでしまったんだと、漸く実感が湧いた。

虚しく消えていく、たくさんの私の涙。

それらを唇を噛んで呆然と見送っていると、ふっと頭の上に重みを感じた。唇を噛んでいた事も忘れ、私の口からは間の抜けた声が出る。


「えっ……?」

「──っ!?」


顔を上げてみると、視界に映るのは、ぽかんと口を開けている父と、私に向かって伸びる父の腕。どうやら、今も私の頭の上に感じるそれは父の手の重みだったようだ。


「さ、触れますねぇ」


ポツリと呟き、父はそのまま手を動かして私の頭を撫で回す。温かい。何だか温もりを感じる。確かめるように、その手が何度か私の頭を往復したところで、パッと離れていった。どうして私に触る事が出来たのだろう。

少し混乱しながらもその一連の動作を見ていたら、次の瞬間、私は父に抱き締められた。


「え?……えぇっ?!」


どうして私は抱き締められているの、どうしてゴーストである私を抱き締める事が出来るの、というか抱き締められるのなんて何年ぶりだろう、と私の頭の中に疑問が増えていって、ますます混乱する。

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(プロフ) - コメント失礼致します。ゴーストちゃんと生徒たちの関係性がとても可愛くて続きが気になります!ゴーストちゃんにはいろんな愛を感じて幸せになってほしい……!お身体に気をつけて、無理せず更新頑張ってください!応援しています! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 791ebcf5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話し続きが気になる (2020年6月28日 15時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくる | 作成日時:2020年6月26日 18時

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