18.牛沢先生【🐮】 ページ19
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「……」
「……えっ」
「へ？」
画面上に出ているAちゃんが選んだ男を見て絶句する。間抜けな声を出して俺の方を見たAちゃんに、「いや、Aちゃん、この男は1番ろくでもないだろ」と言うと、Aちゃんは「えぇ、一番カッコイイよ」と顔を顰めて続けた。
Aちゃんのチャンネルに上がる『乙女ゲーム、牛沢先生とやってみた』シリーズ。男を見る目が死ぬほどなく、選ぶ選択肢も尽くはずれると評判の彼女のプレイを、横で見ている俺がただただ呆れているというだけの動画なのだが、謎に人気で定期的に集まって撮っている。
集まる場所は、俺に彼女ができるまでは俺の家だったけど、俺が彼女が出来て結婚してからは謎にレトルトの家に集まっている。レトルトはなんだかんだAちゃんに甘いので、「また来たのかよ」と言いつつもお茶まで出してくれる。
「え、うっしーはどのキャラがいいと思うの」
「……これ、この優しそうな……」
「えー！いやいや私の選んだキャラの方がかっこいいよ」
お前さあ。
Aちゃんの選んだのは金髪のツンケンした男。いわゆるヤンキー枠。いつも彼女はこういう一番なびかなそうで一番ちょろいみたいな男を選ぶ。めんどくさいだろこんなタイプ。
「いや、好きとかかわいいとか簡単に言葉にするような男はいやなの私は」
「いや、まっすぐに言葉を届けてくれるキャラの方が魅力的だろ」
「……えぇ」
げんなりした顔をして、いかにも私の方が分かってますみたいな顔をしているが、動画のコメント欄では圧倒的に俺の選択を支持するコメントが多い。
その男にあげるプレゼントを選ぶ選択肢で、「んー…、やっぱり普段自分で買わないものの方が嬉しいから……」とそれっぽいことをほざきながら、高級パンツという選択肢を選んだ彼女に爆笑する。
「なんでそうなんの！？」
「えぇ！？高級パンツなんて自分じゃ買わないから嬉しいかと……」
「お前出会いたての人間に下着プレゼントされて嬉しいんか」
「……」
「しかも、このキャラの場合、普通に警戒されるか引かれるだろ。心の壁を叩きわろうとするなよ」
俺の言葉にハッとしたように「心の壁は叩き割らない」と復唱する。本当に、格ゲーやらFPSなんかと違い、こういうのになると死ぬほどポンコツになる。しかも一生進歩がない。
○
🐮「ほんと男見る目ねえなあ」
🦀「恋愛スキルがないよな」
「レトさんにだけは言われたくないんだけど」
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作者名：parumu | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/parumu_u_62
作成日時：2022年4月3日 12時
