【sior・TOP4】補欠的日常 (ページ13)

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13.ベースレッスン【🗻】ページ13

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「……Aちゃん？」

「ん？」

「……そんな見られると緊張するんですが」

　ヒラが最俺ハウスに滞在していない限り、大体俺とAちゃんが1番にここに来る。続いてこーすけ、ヒラ、キヨという感じ。

　だから、最俺ハウスにAちゃんと二人きりというのは結構あるシチュエーションだ。俺はベースを弾いていて、Aちゃんは編集するかテレビを見ているんだけど、今日は俺の手元をじーっと見てらっしゃる。

「いや、この前わくバンのMV見ててさ、やっぱりかっこいいな〜って改めて」

「……俺が？」

「ベースが」

　ふざけて聞いたことに真面目に返されるとショック倍増だ。
　「えぇ」と不満げな声を俺が出せば、Aちゃんは「うそうそ、皆かっこよかった、湯気ぽもせらくんもフルコンさんも」と語り始め、「俺も！？」と俺が声をあげれば、半笑いで頷いた。

「そんな食いつかなくても」

「いや嬉しいもん。……やってみる？ベース」

「……いいの？」

　Aちゃんの目がぱぁっと輝く。

　「いいよ」とベースをAちゃんに渡してやると、慌てて手を服で拭って恐る恐るベースを持った。

「ど、どうすれば？」

「まず肩にかけて貰って」

「……こ、壊しそう」

「壊れねーよ」

　必要以上にビビっているAちゃんに、俺がソファの上から「ここ押さえて」と指で示す。

「……こう？」

「違う違う、ここ」

「……待って指つる」

「そうじゃなくてさ」

　俺は意味の分からない押さえ方をしているAちゃんの手をそっと持って、指先で彼女の指を押さえたり動かしたりする。

　これってなんかえろい。
　距離も絶妙に近いし、バンドマンが付き合っちゃダメなBと言われる理由がここにもあるような気がした。楽器教えてあげると言えば、こんな近い距離に女の子がいることになるわけで。

「え、弾いていいの？」

「はいどうぞ」

　なんとも思わずただ必死にマスターしようとしているらしいAちゃんに頷くと、ピックで弦を弾いた。繋げていないからいい音は出ないけれど、普通に上手いので「上手いじゃん」と言うと、パッと振り返る。

「ほんとっ！？」

「……もう終わりにしましょう」

「えぇ！？」

あの距離であの嬉しそうな顔は反則でしょうが。

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🗻「違う！」

「じゃあもっと近くに来て教えてよ！」

🗻「無理！俺の息子が我慢ならん！」

「は？」

🍩「おい今すぐベースフジに返せ」

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