053.話が通じる訳が ページ6
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定時ぴったりに会社を出る。
日が短いので、もう空は暗いけど、時間としてはまだまだ早い。頂いたピンクの花束を抱えて、北風が寒くて思わずマフラーに顔を埋めた。
今夜は外でディナー。キヨくんと2人きりでだ。思わずにやけていると、ぐいっと腕を掴まれた。
「……」
「やっと会えた」
「……」
浮ついていた気持ちが嘘のように消え、じっと見つめられる目線に喉が張り付いて声が出ない。腕の掴まれたところがじりじりと痛い。
そこには、絶対に会いたくなかった人が立っていた。
「急に自宅勤務を言い渡されたからおかしいと思ったんだ」
「……」
「ごめんね、俺のせいで」
「……、は？」
金子さんがそこに立っていた。足がすくんで動けない。
意味の分からない言葉にただ尋ね返すことしか出来ない。付きまとうのを辞める代わりに、会社を追い出し私とキヨくんが付き合っているのを世に晒すと言っていた。
私は会社もやめたし、キヨくんと付き合っていることも晒された。付きまとうのを辞めてくれるはずじゃないのか。
「収入減って困るでしょ？俺がお金あげるからさ、また会おうよ」
「……つきまとうの、やめるって……」
「俺が会社を追い出す代わりにっていう話でしょ？自分からやめたんだから話が違うじゃない」
私は仕事も捨てて、キヨくんにも協力してもらって、なんとか場を収めたつもりだった。けれど、嫌がる相手を執拗に追い回す人相手に、話が通じるはずがなかった。
掴まれた腕を振り払おうと動くけれど、男女の力の差を前に、どうしても振り解けない。
「困ってるでしょ？力になりたいんだよ、好きだから」
「……」
「キヨより俺の方がAのことすごく考えているし、幸せにしてあげられるよ」
「……やめて」
「俺たちの間を邪魔するキヨに話をつけに行こう。俺も一緒に行くから」
「……き、キヨくんに、近づかないでください」
話が全く通じない。
キヨくんに危害が及ぶことだけは避けたい。どうしても。
喉の奥から声を絞り出す。「お願いだから。これ以上、迷惑かけたくないんです……」と蚊の鳴くような声で返す私を見て、金子さんは「なに、俺が迷惑なの」と真っ黒いめで言った。
背筋に悪寒が走る。もう、この人がなんの感情を持っているのか分からない。ただ見つめることしか出来ない私に向かって、金子さんは拳を振り上げる。
「……あの、警察呼びますよ」
後ろから金子さんの手首を掴んで止めていたのは、レトさんだった。
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parumu(プロフ) - なみのさん» こちらにもありがとうございます！読みやすさとそれっぽさ（？）を意識しているので嬉しいです！笑 これからもよろしくお願いします！ (12月24日 8時) (
レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - 夜さん» 長い文章を読んでいただき本当にありがとうございます、、、！頑張ります！ (12月24日 8時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - さいっっっこうじゃないですか！文章も分かりやすくて最高です！！(二回目) (12月19日 21時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 最初から読んでいます。本当に最高です。文才もあり羨ましいです！応援しています！ (12月9日 11時) (レス) id: b9a823def9 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - りんごさん» 読んで頂きありがとうございます💕！🦀さんの声を脳内再生しながら、🦀さんならどうするかなと想像しながらリアルを追求して書いてるので嬉しいです🥲！ (12月2日 3時) (レス) @page49 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：parumu | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/parumu_u_62
作成日時：2022年6月23日 22時
