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071.特別なんかじゃ ページ24

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 キヨくんの明らかな拒絶の言葉に、何も言えなくなってしまった。

 自惚れていた。キヨくんにとって私は特別なんだって、思い込んでしまっていた。ずっと一緒にいてくれたことも、一緒に住んで、恋人のふりをしてくれたことも、特別なんかじゃなかった。



「……じゃあなんなの」

「……」



 体を起こして、布団の上で膝を抱え込む。
 声が震えてしまって、恥ずかしい。



「……私たちって、なんなの」

「………………Aちゃんには」



 聞きたくない。衝動的にそう思ったけれど、キヨくんの言葉は止まることはなく、ずっしりと重りのようにのしかかり、私の心臓を締め付ける。



「俺なんかよりもっといい人がいるよ」



 なにそれ。
 体良く断られているだけなのか、それとももっと違った意味があるのか。どっちにしろ、やっぱり拒絶されてることは間違いない。

 諦めの悪い私は、布団をぎゅっと握りながら、キヨくんの背中を見つめて、この旅行で言おうとしてきたことをぽつりぽつりと話し始めた。




「……退職の挨拶に行った日、会社でね、辞めるのはセクハラやパワハラがあったからじゃないのかって聞かれたの」

「……」

「……私と同じ部署の人たちから告発があったって。例の上司はクビにするから、私に会社に戻ってきて欲しいって言われた」

「……そー、なんだ……」




 あの日、人事の方に呼び出されて、そんな話をされた。この会社は、私が想像していたよりずっと私のことを大事に思ってくれていて、向き合ってくれているんだと思うと、嬉しくて堪らなかった。

 それでも、すぐに返事ができなかったのは、何よりも、キヨくんと同じ屋根の下で暮らすこの夢みたいな生活が終わってしまうのが嫌だったからだ。

 私は、拳を見つめたまま淡々と続ける。




「……へ、部屋も、引越し先が決まるまでは会社の寮を使ってもいいって言われたの」

「……」




 私はキヨくんの方を見れずに続けた。




「……だから、ありがとう。ちょっとの間だったけど。一緒に暮らしてくれて」

「……」




 この旅行でキヨくんに想いを伝えると決めた。想いと同時に、この、持ちかけられた話も彼に伝えて、関係をはっきりさせようって思ってた。




「……そっか、よかったね」





 でもやっぱり、キヨくんは、「出ていかないで」とは言ってくれない。



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設定タグ:キヨ , レトルト   
作品ジャンル:恋愛
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parumu(プロフ) - なみのさん» こちらにもありがとうございます!読みやすさとそれっぽさ(?)を意識しているので嬉しいです!笑 これからもよろしくお願いします! (12月24日 8時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - 夜さん» 長い文章を読んでいただき本当にありがとうございます、、、!頑張ります! (12月24日 8時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - さいっっっこうじゃないですか!文章も分かりやすくて最高です!!(二回目) (12月19日 21時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
- 最初から読んでいます。本当に最高です。文才もあり羨ましいです!応援しています! (12月9日 11時) (レス) id: b9a823def9 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - りんごさん» 読んで頂きありがとうございます💕!🦀さんの声を脳内再生しながら、🦀さんならどうするかなと想像しながらリアルを追求して書いてるので嬉しいです🥲! (12月2日 3時) (レス) @page49 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:parumu | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/parumu_u_62  
作成日時:2022年6月23日 22時

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