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059.憎まれ口に隠れ ページ12

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「なんでそんなに眠そうなんだよ」

「……眠れなかったから……」



 翌朝、レトさんがキヨくんちのエントランスまで迎えにきてくれた。くっきりとクマのできた顔を隠すように眼鏡をかけている私を見て、レトさんはケラケラ笑った。



「まあ、昨日の今日だし仕方ねえか」

「……」

「今日しっかり対応してもらえて、少し落ち着くといいね」



 昨日から、いつになく優しいレトさんに「なんか優しいよね」と笑うと、「いつも優しいわ」と笑って流された。
 思い返してみれば、確かに、これまで何度も助けてくれたり相談に乗ったりしてくれてきたレトさんは、普段の憎まれ口に隠れているだけでずっと私に優しいのかもしれない。
 視聴者の子に、「レトさんは、なんだかんだAちゃんに1番甘いよね」とコメントされることがあって、腑に落ちていなかったけれど、それが少ししっくりきたかも。



「キヨくんは?」

「気をつけて行ってきてねって」

「そう……」



 「着いてくると思ったのに」とレトさんは怪訝そうに首を傾げて言った。
 結局昨日家に帰ってきた後、キヨくんはろくに口を聞いてくれず、ものすごい勢いで寝床争奪戦のスマブラに勝ち、ソファの上で丸くなって寝ていた。今朝も、いつになく早く起きていて、「気をつけて行ってきてね」と一言残して、ランニングに出て行ってしまった。



「なんだかキヨくん、昨日からあんまり口聞いてくれなくて」

「ふうん……」

「何か怒らせるようなことしたのかな」

「……さあ」


 何か考えている様子のレトさんの隣を歩いて、警察署の前までやってきた。これまで何度も警察に駆け込もうと思ったことがあったけれど、ネットで調べる度に「信じてもらえなかった」「動いてもらえなかった」という情報ばかりが目に入って、その気持ちがとめられていた。
 警察署を見上げて立ち止まる私に、レトさんは気がついたように振り返って、「大丈夫だって」と笑った。



「俺もいるから」

「……うん」

「行こう」

「……」


 レトさんはいつも、こうして私の背中を押してくれる。
 レトさんの後に続いて、恐る恐る一歩踏み出した。



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設定タグ:キヨ , レトルト   
作品ジャンル:恋愛
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parumu(プロフ) - なみのさん» こちらにもありがとうございます!読みやすさとそれっぽさ(?)を意識しているので嬉しいです!笑 これからもよろしくお願いします! (12月24日 8時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - 夜さん» 長い文章を読んでいただき本当にありがとうございます、、、!頑張ります! (12月24日 8時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - さいっっっこうじゃないですか!文章も分かりやすくて最高です!!(二回目) (12月19日 21時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
- 最初から読んでいます。本当に最高です。文才もあり羨ましいです!応援しています! (12月9日 11時) (レス) id: b9a823def9 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - りんごさん» 読んで頂きありがとうございます💕!🦀さんの声を脳内再生しながら、🦀さんならどうするかなと想像しながらリアルを追求して書いてるので嬉しいです🥲! (12月2日 3時) (レス) @page49 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:parumu | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/parumu_u_62  
作成日時:2022年6月23日 22時

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