【ky】最終兵器妹2 (ページ28)

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077.タイミング最悪ページ28

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　タイミング、完全に悪かった。
　お兄ちゃんに「キヨとGeroさん達がスマブラするらしいから行こう」と誘われて、Geroさんとは初めましてだったけれど、息抜きにと言われて着いて行った。

　その決断が間違いだった。

　キヨくんの住んでるマンションのエントランスで、キヨくんに後ろから抱きつく女性が1人。「泊まっていい？」という言葉まで聞こえてしまった。

「……」

　お兄ちゃんは焦ったのか、わたしの目を両手で塞ぎ、「人違い、人違いだから」と言いながらこそこそとエントランスの方へと向かう。

「あれぇ？こーすけ兄妹」

「え」

　エントランスをくぐる前にばっちり見つかっていたらしく、あやさんがわたしとお兄ちゃんに声をかけてきた。お兄ちゃんは私の目元からパッと手を離すと、「おぉ！あやちゃん久しぶり〜」とバレバレの演技で挨拶した。

「久しぶり」

「……こ、こんばんは」

「顔だしてたよね〜カワイイし、人気出たでしょ？」

「……あ、いえ」

「私キヨと話あるし、先入っててよ」

　なんだろう。このピリピリした感じは。久々に感じた気がする。邪魔なのだ、この人にとってわたしは。瞬時にわかる。
　わたしは自分の靴しか見れない。彼女の言葉に逃げ込むようにエントランスに入る。

「あやちゃんいつもあんなんじゃねーのにな」

「……」

「A？」

「……ん？」

「大丈夫か？」

「……うん」

　わたしはお兄ちゃんの言葉に無理矢理笑って頷く。
　わたしが触れられない背中に、あやさんは抱きついていた。しかも、「泊まっていい？」だなんて。

　なんだか、急にキヨくんが遥遠くにいる大人の人に感じる。どう頑張ってもわたしはまだ18歳で、子供で。キヨくんは私より4つも年上で、きっとわたしが知りもしない大人の世界を沢山見ている。

　このところ、キヨくんと距離が縮まった気がしていた気持ちが、しゅんと小さくしぼんでいくのを感じる。

「……帰るか？」

「……大丈夫」

「……そんならいいけど」

　帰ったら、ますます子供だ。
　わたしは2人の妙に近い距離を、頭の中から振り払うようにキヨくんの部屋へと向かった。

「うわ、初めまして！Aちゃんや〜」

「いつも兄がお世話になってます」

「お世話してます〜」

　初めて会ったGeroさんやドグマさんに、わたしはペコペコ頭を下げ、忖度無しの半分私怨のスマブラで圧勝した。

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