18. ページ19
.
試験の説明会場に入り、わたし、かっちゃん、出久くんの順で並んで座り説明を聞く。
中学順で出席番号順に並ばされている。
今回の試験は模擬戦闘。
演習場に配置されたヴィランを倒し、点数を稼いでいく方式だ。
私の演習場はC会場。
受験票を握って気合を入れていれば、一足先に立ち上がったかっちゃんとばちっと目が合った。
「...あの、かっちゃん」
「...あ？」
「...今日までたくさんありがとう。私、頑張るね」
「絶対合格するから」と拳を握る私を、かっちゃんは暫く見つめてから、べしっと頭を叩く。
「俺だけ受かりゃいいんだよ。黙れや」
「これで借りは返したからな」といつもの調子で言う。
足早に去っていってしまう彼の背中を見送ると、くるっと出久くんの方を振り返る。
緊張した面持ちの彼だけど、私と同じように「やらねば」と決意に満ちた顔をしていた。
「出久くん」
「...Aちゃん」
「...私、出久くんがいるから頑張れたよ」
「一緒に受かろうね」と言えば、「うん！」とキリッとした顔をして頷いた。
2人同時に席から立ち上がると、おのおのの会場に向けて歩き出した。
これまでの人生で前例がないくらいの1世1代の大勝負。この日のためにみんなが背中を押してくれた。
ここでやらなきゃどこで頑張るんだ。
体操服に着替えると、演習場の入口へと向かう。
そこには既にたくさんの受験生がいて、準備運動をしたり精神統一をしたり、みんな思い思いに試験前の時間を過ごしていた。
あばれまわる心臓を必死に押さえながら精神統一していると、目の前の人のポケットからぴらっと受験票が落ちる。
「...あ、あの、これ！」
「落としましたよ！」と目の前の黒い髪のつり目の男の子に受験票をわたす。
彼はきょとんとした顔で振り返ると、受験票をみて「あぁー！わりぃ！ありがと！」とニカッと笑った。まぶしい。
ぴりぴりしているムードの中でこれだけ笑顔で人に笑い返せるってなかなか出来ないと思う。
「ぴりぴりしてんなーみんな」
「う、うん...きりしま、くん？は緊張してないの？」
受験票に書かれていた名前を呼べば、彼は「まあ、ここでビビってちゃあ漢じゃねえだろ！」と笑ってみせる。
ヒーローらしいヒーローって感じだ。
今まで私の周りにはいなかったタイプの男の子。
「おまえは？名前」
「...修善寺Aです！」
「修善寺！頑張ろうぜお互い！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 538人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
parumu(プロフ) - だいずさん» ありがとうございます。直しておきます。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: eb2da74267 (このIDを非表示/違反報告)
だいず(プロフ) - みねたの漢字は峰田ではないでしょうか？ (2020年11月9日 20時) (レス) id: 341db306ca (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます！ゆっくりにはなりますが更新頑張りますので宜しくお願いします！ (2020年9月21日 19時) (レス) id: eb2da74267 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 一気読みさせていただきました！続編も楽しみに読ませていただきます！更新頑張ってください！ (2020年9月14日 2時) (レス) id: 99a13ff01b (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - 鳳＊さん» コメントありがとうございます！わかります・・・岡本信彦さんがやることでもっともっとかっちゃんの良さ出てますよね、、更新頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (2020年3月7日 13時) (レス) id: 583168fb08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
