北の誕生日。【番外編� � ページ14
7月4日午後23時59分。
小鳥遊はソワソワと落ち着かない様子で携帯を握っていた。
画面に映る時刻をじっと見つめ、その時を待つ。
「…よし、送信」
0時になった瞬間、画面をタップしてメッセージを送る。
《信介君、お誕生日おめでとう！》
そう、7月5日は彼氏である北 信介の誕生日なのだ。
普段は早めに寝る小鳥遊だが、誰よりも早く彼氏の誕生日を祝いたいと思い、起きて待っていた。
北も同じように早めに寝るタイプで、もう寝ているだろうと思っていた矢先、
携帯のバイブ音が小鳥遊の部屋に響く。相手を確認してみると、彼氏である北からだった。
「え、信介君！？…もしもし？」
『Aわざわざありがとな』
マイク越しに大好きな声が響く。
「ど、どういたしまして！」
『フハッ…A緊張しとんの？』
「そんな事…！ある…」
付き合い始めて初めて迎える北の誕生日。
喜んで貰えるだろうか、迷惑じゃないだろうか、色々な思いが頭の中を巡っていた。
「信介君、起きてたんだね…」
『ん、もう寝ようかって思っとったけど、Aがメッセージ送ってくれたし…Aの声も聴きたかったからなぁ』
「そ、そっか」
『照れとる？』
「照れてない」
『照れとるやろ』
「照れてない」
『ホンマに？』
「…意地悪」
『A限定でな』
北のクスクスと笑う声が聞こえてくる。
そして自然と小鳥遊の頬も緩む。
「学校でプレゼント、渡すね」
『…！楽しみにしとる』
「うん！じゃあ…切るね。おやすみなさい」
『おやすみ』
会話が終わった瞬間、顔を真っ赤にしてベッドに倒れ込む小鳥遊。
「信介君ズルいよ…」
(プレゼント、喜んで貰えるかなぁ)
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作者名：みたらし団子 | 作成日時：2017年12月15日 17時
