検索窓
今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:294,676 hit

まっすぐな瞳。 ページ36

_


用事があるからと先に帰ったまいこを見送って、ゆっくり帰り支度を始めるわたし。気が付けば教室にはもう誰も残っていなくて、いつかみたいに、窓の外に見える部活中の生徒たちの声が遠くに響いていた。


「・・・A?」

「?・・・あ。」


教室のドアの向こうから私を呼ぶ声が聞こえて、ふとそちらに目をやると優人くんが立っていた。

あの日曜日のデート以来、優人くんとの間にも、どこか気まずい空気が流れているように感じてた。…紛れもなく、わたしのせいではあるのだろうけど。


「帰ってなくて、よかった。
 …ちょっと話したいなと思ってた。」

優しく、どこか切なそうに笑った優人くんが、わたしの隣にそっと腰を下ろした。



「なんか、ちゃんと話すの久しぶり」

「そう、やね…。」


言ったきり、何も言わなくなって俯いてしまった優人くん。


「あの、優人く、」

「Aさ。小瀧くんのことが好き?」


話し出そうとしたわたしの言葉を遮って、優人くんが唐突に尋ねた。


「な、なんで…?
 べつに、ただの幼馴染で…、」

「じゃあ俺は?俺のことは好き?」

「えっ……、」


今わたしの目の前にいるのは、優しくて穏やかな、いつもの優人くんじゃなくて。


「俺は、Aが好きやで。」

「あの、優人くん」

「俺、前からAのこと気になってて、自然に目で追うようになって、少しずつ知って。近づきたいと思ってたけど Aはいつも小瀧くんと一緒におったから。入る隙なんてないと思って諦めてた。けど小瀧くんが最近沢田(えり)と二人でおるの見るようになって…。もしかしたら今がチャンスかもって告白した。お弁当作ってくれたり、一緒に帰ったりデートしたり、いい感じになってきたんちゃうかなとも思ってた。」

「…うん、」

「返事なんて急ぐ気なかったけど
 やっぱり聞きたい。」


そう言う優人くんの瞳は真っ直ぐにわたしを見つめていて、これ以上はごまかせない。



わからないじゃ、だめなんだ。

お願い、俺を見て。→←こぼれる溜め息。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (352 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
589人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りんごちゃん(プロフ) - ▼ めぐり。さん うわあ〜♪大好きだなんて///こちらこそ大好きです。ありがとうございます( ^ω^ )移行しましたので、そちらでもよろしくお願いしますね! (2014年5月26日 15時) (レス) id: 3d995db322 (このIDを非表示/違反報告)
めぐり。(プロフ) - 本当に本当に大好きですっ!!!頑張ってください\(//∇//)\応援してます!! (2014年5月25日 19時) (レス) id: 8d9766e09c (このIDを非表示/違反報告)
りんごちゃん(プロフ) - ▼ めぐり。さん ええ〜(゚△゚)!そんなふうに言ってもらえるなんて逆に頭下げます<○>わたしなんて全然ですほんとに><初心者ですし。でもめぐりさんのような方のために頑張ります!!(^-^)/☆ (2014年5月25日 16時) (レス) id: 16c48c6581 (このIDを非表示/違反報告)
めぐり。(プロフ) - うわー!返信きたぁー!!!小説は当たり前ですけど、りんごちゃん大先生ファンになりそうですっ!!2作目も3作目も楽しみにしてますね!! (2014年5月25日 15時) (レス) id: 8d9766e09c (このIDを非表示/違反報告)
りんごちゃん(プロフ) - ▼ めぐり。さん コメントありがとうございます(^.^)♪そんなこと言ってもらったらもう最強にテンション上がります( ´;ω;` )☆ありがとうございます( ´;ω;` )これからもよろしくお願いしますね! (2014年5月25日 8時) (レス) id: 16c48c6581 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りんごちゃん | 作成日時:2014年5月1日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。