会長と面接 ページ35
試験官らが待っているという部屋の戸を軽くノックする。私が気がつく前にも数度呼び出されていたようなので、怒られてしまうかもしれない。しかし扉の内から聞こえてきたのは、会長の以前と変わらぬ飄々とした声だった。
「ああ、45番か。入ってよいぞ」
あれ、怒っていないみたいだ。しかし部屋に入ってから小言を言われるかもしれない。油断はできないぞと自分に言い聞かせると、一つ息を吐いた。ゆっくりと扉を開けて中に入る。緊張が伝わらないよう心がけながら、失礼しますと言い切ってから一礼をした。
部屋の中にはサトツさんやメンチさんらもいるだろうと踏んでいたが、そこにはネテロ会長が一人座っているだけだった。中華やジャポンの民俗文字である、カンジが一文字(確かハートという意味だったような気がする)書かれた額縁を背後に掲げている。内装も中華風だ。
「ふむ、まだ若いのに礼儀正しい娘じゃのう」
「ありがとうございます」
様々な機会において役に立つからと一通りの礼儀やマナーを教えてくれたウイングさんには感謝だ。そのお陰で褒められた経験も数多くあり、それらは全て、私の自信になっている。しかしこの場合は嫌味の可能性も拭えない。
「お呼び出しに遅れてしまい、大変申し訳ございません。それで、どういったご用件で…」
「まぁまぁ、そう堅くならずに座りなさい。なに、最終試験に向けて少し質問するだけじゃよ」
良かった、本当に不機嫌ではないようだ。私が座ったのを確認すると、彼は質問を始めた。
「まず、何故ハンターを志望しているのかな?」
「はい。私の師範代にライセンスがあると何かと便利だからと、この試験を受けるよう進められたため、会場へ参りました。私自身も、師範代と同じ理由で今ここに座っています」
果たしてこれは答えになっているのだろうか。しかもゴン達のように明確な理由もない。正直に答えれば良いというものではなかったのかもしれないと密かに後悔をしている私の気持ちを汲み取ってか、彼は目を細めてみせた。
「心配せずともここで合否を決めることはないから安心しなさい。ほら、質問を続けるぞい」
彼は徐に数枚の写真を懐から取り出すと、ずらりと机の上に並べた。現在残っている受験者達だ。皆比較的澄ました顔をしているのに、レオリオだけはピースサインをしていてなんだか可笑しい。
「この中で一番注目している者は?」
なかなか難しい質問に少しばかり頭を捻った。
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可愛いちむちむぶぅLove(プロフ) - ミルクティーさん» 頑張ってください!!応援してます! (2019年11月22日 16時) (レス) id: 214c276130 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー(プロフ) - 可愛いちむちむぶぅLoveさん» ありがとうございます!!そう仰って頂けるのはとても嬉しいです!これからも更新頑張ります!! (2019年11月22日 16時) (レス) id: 1a41e6e484 (このIDを非表示/違反報告)
可愛いちむちむぶぅLove(プロフ) - 見ました!!とても話の展開がとても面白くて、見てて楽しいです!! (2019年11月22日 15時) (レス) id: 214c276130 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - ミルクティーさん» 話の展開どうなるかワクワクします!まってます! (2019年11月19日 22時) (レス) id: db14efe7b6 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー(プロフ) - お気に入り登録ありがとうございます!更新も頑張りますね!興奮させるようなヒソカを書くことができて光栄です!次回ヒソカが重要な役割だったりするので楽しみにしていてください! (2019年11月19日 7時) (レス) id: 1a41e6e484 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミルクティー | 作成日時:2019年10月30日 7時