狙われた少女の話 ページ9
「ねえ、その不審者ってなに〜?俺もさっき見渡したけど何もなかったよ〜？」
「そうだな…。話していいものか…。」
「私が…話します…。」
ルリハタちゃんが顔を上げて俺の方を見る。その顔は未だ真っ青で大丈夫そうではない様子。
兎に角近くにあった椅子にルリハタちゃんを座らせる。
「フロイドさんには言ってなかったけど…、私植物と会話が出来るの。不審者が出たって言うのは植物達が言ってたから分かったの。どこにいるかまでは分からなかったけど…近くにいたみたい。多分私を捕まえに来て…だと思う。」
「え、ルリハタちゃん。誰かから狙われてるの?」
だからこんなにも怯えているのか。
ロブスター先生が大きく頷き話を繋げる。
「マフィアの類いだろうな…。恐らく狙いは彼女のユニーク魔法だ。」
「ユニーク魔法?ルリハタちゃんのユニーク魔法ってそういえば聞いたことがない…」
「私のユニーク魔法は、けがや病気を治す魔法なの。利用しようと思えば利用できる能力だから狙う人が多くて…。」
「彼女がこの学園に来たのは保護の為でもある。ここNRCは辺境にあるだけあってなかなか来れる奴はいない。一般公開もそんなにないしな。それに防御魔法はどこの学校よりも優れているこの学園に彼女は保護されに来たんだ。」
「そう、だったんだ…。」
「ごめんなさい、フロイドさん。隠し事は嫌いって言ってたけど…これを話すと誰の耳に届くか分からなかったから話せなかったんです。本当にごめんなさい。」
「そんなの…仕方ないじゃん。狙われてるってわかってて話すなんて稚魚のすることだよ…？だから、そんなに気にしないでよ」
本当は彼女が隠してたことが少し悲しい。でも今日それを知れてラッキーだとも思う。
だからこそ思う。彼女をつけ狙う奴を殺したいって。
彼女がこんなに怯えて生活しないといけないのはそいつらのせいだって分かった。
だからルリハタちゃんが怯えないようにそいつら全員絞めてやりたい。
「……ルリハタちゃん。そいつらってどこにいるか分かる？」
「まさか、お前…！行くつもりか!?やめておけ、相手はそこら辺のゴロツキとは訳が違う!!相手は殺しのプロだぞ?!生徒をみすみす怪我させるわけにはいかない!!」
「でも!!このままじゃルリハタちゃんはずっとビクビクしながら生活しないといけないんだよ?!だったら奴らを…!!」
「フロイドさん…。行かないで、そばにいて…。」
「…ルリハタちゃん。」
震える彼女をそっと抱きしめた。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
