不審者情報 ページ8
その日だけで300pt稼げた俺は機嫌がすこぶるよかった。
ルリハタちゃんの隣を歩き鼻歌を歌う俺を見て嬉しそうに笑うルリハタちゃん。
なんだか胸がポカポカする…。
胸に手を当てそのポカポカを感じつつ、ルリハタちゃんと今日最後の授業へ行くため演習場を横切ろうとした時だった。
ルリハタちゃんが急に顔を強張らせ、俺の後ろに隠れるような動作をした。
「…?ルリハタちゃん?どうしたの?」
「ふ、フロイドさん…、動かないで…」
「??」
ルリハタちゃんの顔は真っ青だ。
今にも倒れそうな彼女に疑問が湧く。何故そんな顔をしてるんだろう、と。
何かいるのかと思い辺りを見渡すが何もない。
しかし彼女がこんなにも怖がっていて何もないわけがない。
上着を脱ぎ彼女の頭からそれを被せ、その何かから隠すように抱き締める。
「大丈夫…?」
「……。」
返答のない彼女が心配になるが今上着を外せば彼女はまた怯えた顔をするかもしれない。
それにまだ彼女の身体が震えている。
暫くそのままでいると前からイシダイ先生(クルーウェル先生)がやってきて、ものすごく怪訝な顔をされる。
「おい、お前ら。何をしている。授業が始まるぞ」
「イシダイせんせぇ。なんかルリハタちゃんが具合悪そう…」
「??見せてみろ。」
上着を取り、着なおそうとするとルリハタちゃんが急に俺に抱き着いてくる。
思わぬ行動に声が上ずる。
「る、ルリハタちゃん?!だ、大丈夫?!」
「…まさか。不審者か…？」
イシダイ先生がそう口にするとルリハタちゃんが僅かに頷く。
辺りを見渡し始めた先生だったがやはり視認できなかったようで、舌打ちをした。
「仔犬。歩けるか？」
「…はい。」
「おい、リーチ弟。こいつを職員室へ連れていけ。授業は免除してやるから授業が終わるまでそのまま職員室に居ろ。いいな？」
「え、どういう事?何が起こってるの？」
「話はあとだ。とにかく早く行け。」
「よくわっかんねぇけど…分かった!ルリハタちゃん、歩ける……？」
僅かに首を縦に動かした彼女を見てゆっくり動き出す。手を繋いで足早に職員室へ向かい、中に入る。中には筋トレ真っ最中のロブスター先生(バルガス先生)がこっちを見て首を傾げた。
「どうした、お前ら。今は授業中のはずだが…?」
「なんかイシダイ先生に職員室の中に居ろって言われた。」
「イシダイ先生？誰だ、そいつは。」
「あー、髪が黒白の先生」
「あぁ、クルーウェル先生か。Aも居るという事は…不審者か。」
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
