彼女の能力 ページ6
【アズール視点】
すぐに身を乗り出し聞こうとする奴の姿に僅かにほくそ笑む。
どうやら本気で彼女を口説き落とすつもりらしい。
彼女のユニーク魔法はとても有能だと聞いたことがあるがその中身までは知らないし、何といっても彼女の能力…。
何もせずとも花を咲かせる能力には一目置いている。
なんでも、珍しい花や薬草、植物を咲かせるのだとか…。これは利用しないわけにはいくまい。
「彼女は気の置ける人物の近くだと《花を咲かせるらしい》」
「花を、咲かせる…?なにそれ?」
「彼女の出身地が豊花の島だというのは知っているな？」
「初耳なんですけど〜？」
「…まぁ、いい。彼女がそこの出身と言うのが大きい。なんでもあそこの島の出身は植物を扱うのに長けているらしくてな…苗字が花の名前だとそれはそれは大切に扱われるらしい。花の化身として、な。」
「????で、どういうこと？」
「全くお前は…。まぁ…つまりだ。彼女はああ見えてずっと気を張っている。気を許した相手の前だと辺り一面に花を咲かせるという能力を持っているらしい、という事だ。そこまでされたなら告白したら番になれるかもしれないぞ？僕からの有難いアドバイスだ」
「ふ〜ん？花…、花を咲かせる……。わかんねえけど、分かった！ありがとう、アズール〜!!」
直ぐに部屋へ戻っていく奴を頬杖を突きながら見送る。
全く単純なんだか、本気なんだか…。
「貴方がそこまでフロイドの事を思ってくれているとは思いませんでしたよ。」
片割れか…。まぁ、知られて困る事ではあるまい。
「当然です。僕だって困っている人にアドバイスくらいはしますよ。……まぁ、彼女は利用価値がある。辺り一面に咲かせる花と言うのは珍しい薬草や植物も咲かせるようですから、それを手に入れられれば儲けになること間違いなしです。」
「貴方も悪い人ですね。」
「知っていた事でしょう？」
「ふふ、そうですね。」
さて、フロイドが彼女を落とせるか高みの見物と行きましょうか。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
