【ツイステ】気まぐれフィロソフィー (ページ44)

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泳ぎの先生は熱血先生ページ44

泳ぎの練習に来たA達は何時ぞやと変わらぬ形で練習していた。
ただ、錬金術で調合した物は使わずに素で潜る練習をしている。
あれは手元に一つしか無いから。

フロイドも人魚姿になってAを時折手助けし、それに応える為にAは底へ底へと向かって潜っていこうとするのだが…。

「っ、(やっぱり上へ引っ張られる感覚がするっ…！)」

ぶはっ、と水面から顔を上げたAは荒く息を吐き出す。
ぬるっと顔を出したフロイドも困った顔でAを見つめていた。
自分は人魚だから潜れない辛さや苦しみは分からない。
分からないからこそ、Aに対して、どうしてあげた方がいいのか分からなかった。

「うーん。潜れないねぇ〜？」
「はぁ、はぁ。…いえ！もう一度です！」

それでも諦めないAへ感嘆しながら、フロイドもやる気をみせ大きく頷いた。

「(こんな時にアズールが居たら、どうアドバイスしてあげたんだろ…)」
「────ぷはっ！」

数秒後再び浮かんできたAを見つつ、フロイドはそんな事を考えた。
このままだと、本当に薬がないと潜れなさそうだ。
うーん、と唸ったフロイドだったが、ふとピカンと頭に閃く物があった。

「A！」
「？？」
「ちょっとここで待ってて！！良ーい？！絶対に俺のいない時に練習しないでね！？」
「は、はい…。」

すごい剣幕で捲し立てるフロイドはプール代わりになっている水槽から飛び出すと、直ぐに人間になれる薬を使って何処へと走り出していってしまった。
フロイドとの約束を破る訳にも行かず、水槽の縁にしがみついていたAはしばらく待ちぼうけをくらう。
そうして待っていたフロイドが姿を現した。

「A！お待たせぇ〜！ロブスターせんせぇ連れてきたよ〜！！」

そう言ってフロイドが連れてきたのは、我が校屈指の筋肉先生であるバルガス先生だった。

「よぉ！お前ら、そんな事ならすぐ俺に言えば良かっただろう？それでもまぁ！頼ってきてくれて先生として誇らしく思うぞ！」

ガッハッハと豪快な笑いをしたバルガス先生を呆然と見ながら、Aは視線をフロイドに移す。
確かに体育系といえばこの先生であるが…。

「ロブスターせんせぇならなんか策を思い付くかと思ってさ〜。」

まぁ、Aからすると藁にもすがる思いだ。
こうなれば先生の熱血指導に期待しよう。
Aは「ははは…」と水に浸かりながら先生にから笑いをひとつ零した。