呼び捨て ページ42
あんなに喜んで貰えたから、きっとPt稼ぎは上々なハズ。
そう思って、フロイドはAを見て疑問を口にした。
「そういえば、あんなに美味しそうに食べてたけど、肝心のPtは〜？」
「あ、そうでした。……うーん、そうですね。」
暫く悩むAにフロイドはドキドキと、そしてワクワクを隠しもしないまま言葉を待つ。
そして、フッと笑ったAはゆっくりとフロイドを見上げた。
「そうですね。今、フロイドの料理のお陰でPtが鰻登りですから。」
「…え。今…」
ちょっとした事だったけど、フロイドにとっては大事な事だった。
自分の名前がいつもの“さん付け”ではなく、“呼び捨て”に変わっていたのだ。
それをサラッと言われたとしても、気付かないはずが無い。
「ふふ。3000Ptになったので呼び捨て解禁です。……嫌、でしたか？」
「ううん…！すっごい嬉しい！！ ねぇ、もっと呼んで？A。」
「っ！？」
Aも愛称から呼び捨てにされた事で、顔が真っ赤になる。
名前を呼ばれたのは時々あったけど、本当の名前を呼び捨てにされるのって結構特別感があって嬉しくも、恥ずかしい。
それが彼ならば特別だ。
「えっと……フロイド。」
「あっははァ！な〜に？A。」
「っ、」
慣れない名前呼びに更に顔を真っ赤にさせたAは顔を手で覆い隠し俯く。
それにケラケラと笑い、嬉しそうに笑っていたフロイドだったが…………あまりにも笑いすぎて、それがAの癇に障る。
「……笑いすぎです。減点です。」
「え？！ ちょ、待ってよ〜！もしかしてだけど、減点されたら…」
「残念です。フロイドさん。」
「げ、」
折角Pt上げたのに、とガッカリした様子のフロイドだったがそれを見てAは笑った。
「……ふふ。冗談ですよ。フロイド。」
「！」
するとフロイドは嬉しそうにAを抱き締め、Aを呼ぶ。
「へへっ。A。」
「何ですか？フロイド。」
「………ねぇ、その敬語どうにかなんない？ジェイドみたいで嫌なんだけどぉ〜？」
「でしたら、次の6000PtまでPtを上げられたら敬語を外しましょう。」
「えぇ？！今の倍じゃん！？」
「……文句を言うなら？」
「げ、」
慌てて口を噤んだフロイドにAは笑いながら、彼の胸へと頭をこてんと落とす。
それにフロイドは少し不貞腐れつつも、優しく頭を撫でてあげていたのだった。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
