誰かと食べる幸せ ページ41
フロイドの手にかかれば料理なんてあっという間である。
日頃、モストロラウンジの厨房で作ってるだけあって手際も良かった。
それが今回功を奏して、まさか好きな人にこんなにも喜んで貰えるとは思っていなかったフロイドは心の中でアズールに感謝していた。
……ほんの１秒だけ。
「いただきます。」
「はい、ど〜ぞ〜？」
料理を綺麗に盛り付けなんて、Aに出さないものだったら絶対にやらない。
アズールや兄弟に言われてなら渋々やるかもしれないけど。
それでも、それ以外だったら絶対にやらないと思う。
それくらいAはフロイドにとって特別だった。
「…！ ……美味しい！」
Aが口に手を当てそう呟いた瞬間、Aの周りの地面から花が咲いていく。
それはそれは見事な花達が地面を彩っていく。
いつもなら直ぐに気付いて慌てて手折っていくAも、目の前のフロイドが作った料理に感銘を受けているのか、固まったまま感動したように目を輝かせ頬は赤みをさし、それはそれは嬉しそうに笑っていた。
それを見て様子を見ていたフロイドも固まって、驚いた表情を見せる。
「(俺の料理…そんなに美味しかったのかなぁ？……なんか、すっげえ嬉しい。)」
心がポカポカする。
フロイドはそれを感じながらAの様子を見て、優しく笑った。
「そんなに美味しかったの〜？」
「はい！とても美味しいです！フロイドさんは将来、有名なシェフになれそうですね！」
「考えたこと無かったけどー、ルリハタちゃんがそう言うなら考えてみよっかな〜。」
まだ将来どうしたいとか考えた事ない。
でも、ルリハタちゃんがそこまで言うなら候補になら挙げてもいいかも。
そう思いながらフロイドも自身が作った料理を口に運ぶ。
だがそれはいつもの味だ。
……でもひとつ言えるのは、
「(ルリハタちゃんと一緒に食べるのって、何だか特別で、美味しく感じるかも…。)」
誰かと食べる幸せを少し感じた様だった。
その後、食べ終わった後に花が出ていた事に気付いたAら慌てて花を手折っていき、それをフロイドが止めていた。
最近はAが出す花を部屋に飾るのが特別に思えて、今回もそれをしたかったからAを呼び止めたのだった。
＿＿こうして花達はフロイドが優しく摘んでいき、その花達は暫くリーチ兄弟の部屋を飾っていたのだった。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
