海は大荒れの予報です ページ37
寮へ戻ってきた二人は、アズールやジェイドに先程の事を報告していた。
──これで海へ入れる。
二人はそう思っていた。
「Aさんには申し訳ありませんが……海の中に入るのは止められた方がいいかと。」
「えぇ？！何で〜？！ルリハタちゃん、あんなに楽しみにしてたのにー！」
「実は、僕たちが行こうとしていた明後日の天気が大荒れでして…。海初心者にそんな大荒れの時の入水はかなりハードだと思いますので。」
「そ、そんな…！」
折角皆が私の為に貴重な時間を割いてまで練習に付き合ってくれたのに。
顔を俯かせ、落胆の色を隠しきれないAは自分の手に握られた調合物を見ていた。
それを見て三人も不憫そうにAを見つめていた。
「……じゃあ、俺とルリハタちゃんはお留守番だねぇ〜？」
「…え？」
「だってぇ〜？ルリハタちゃんが海に行けないなら俺も行く必要ねェしー？だったらここでルリハタちゃんと居た方が俺は楽しい。」
「フロイドさん…」
「それにぃ〜、その呼び方も気に食わないから休みの間にpt上げてー、呼び捨てにしてもらわなくちゃね〜？」
「…ふふ。pt集めは大変ですよ？」
「あっははァ〜。やってやろうじゃん。」
そっとフロイドがAの手を握り締める。
それに応えるようにAの手もそっと、力を込められていた。
「フロイド。くれぐれも僕たちの居ない間に問題は起こさないで下さいよ。」
「分かってるって〜。」
「全く…。本当に分かっているのやら…。」
眼鏡を押し上げながらアズールは呆れた表情から一変させ、Aを見て柔らかく笑った。
「フロイドをよろしくお願いしますね。Aさん。」
「はい！分かりました。」
「……ちょっとぉ〜？俺、そんなに信用ない訳ぇ〜？」
「当然だろう…。今まで何度やらかして来ていると思ってるんだ…。」
そんなアズールのゲッソリした顔を見てフロイドが可笑しいとばかりにほくそ笑んでいた。
その横ではAも微笑ましそうに二人を見つめる。
「では、二人とも。僕たちが海に行っている間だけですが、くれぐれも頼みましたよ。」
「「はい。/は〜い。」」
＿＿＿そして早くも明後日の休みの日となり、アズール達は後ろ髪引かれながらも海へと旅立って行ったのだった。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
