海に潜りたい理由 ページ35
「お前が緊張すれば相手であるリーチ弟にまでそれが伝わる。確かに失敗は許し難いがそれではお互いに良い錬金術にはならん。良い物を創り出すならまずは己の精神と向き合え。いいな？」
「は、はい…！」
「ねえ、ルリハタちゃん。」
「？」
未だに緊張しているAに、それはそれは優しい笑顔を浮かべたフロイドが声を掛ける。
「ルリハタちゃんはさ〜。何で海に潜りたかったんだったっけ？」
「？？ 私が潜りたい理由？」
「うん。それを思い出したら自然とルリハタちゃんも肩の力も抜けてくるんじゃない〜？」
「…。」
胸に手を当て静かに自身へと問いただすA。
そしてみるみるうちにAの顔は次第と笑顔に変わっていった。
「私が海に潜りたい理由……。キラキラした海の世界をこの目で見てみたいから…。」
「そーそ！無駄に気ぃ張る必要ないって。別に死ぬわけじゃないんだし〜？」
「そうですよね。そう思うと私、何で緊張してたんでしょうか。」
「あっはは！やっぱルリハタちゃん、面白〜。」
歯を見せながら笑ったフロイドは錬金釜の前で灼を持ち、それを釜の中につけた。
「さ〜て。ルリハタちゃんの為にやっちゃおーっと。」
「頑張りましょう！」
素材を入れ、お互いに掻き混ぜたり魔法をかけたり。
クルーウェル先生が静かに見守る中、出来上がった物は先生も納得の品だった。
「Goodboy！初めてにしては良くやった、仔犬ども。」
「あっはは！イシダイせんせーにも褒められたし、これで海の中に潜れるねぇ？ルリハタちゃん。」
「はい！これでようやく、念願の海の中が見れそうです！」
「その前に、だ。それの効果時間について話しておくぞ。大切な事だからよく聞いておけ。」
クルーウェル先生が鞭をピシッと手の中で鳴らし、フロイド達をひたと見据える。
「それくらいの物であれば効果時間はもって半日ほどだ。あまりそれの効果時間に期待しすぎず、数時間で海から上がるように。……特に、A。無理して海の中に留まらないよう気を付けろ。約束を守らないBADGIRLには後でお仕置が待っているからそのつもりでいるように！」
▷▶︎▷▶︎NEXT
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
