補習授業だ、駄犬ども ページ33
「え〜?イシダイせんせぇ、何とかしてよ〜。このままじゃルリハタちゃんはずっと海に入れないよ〜？」
「お前は何の為に今まで俺の授業を受けていた？今まで受けてきた授業を思い返すんだな。」
「え〜？ヒントくらいくれたっていいじゃ〜ん」
「あ？…そうだな、仕方ない……来い、お前ら補習授業だ。」
そう言って踵を返すクルーウェル先生に、お互いに顔を合わせると笑顔が零れた。
何だかんだクルーウェル先生は優しく、面倒見が良い。
黒と白の髪を持つ特徴的な先生の後を追うようにフロイドが足早に追いかけていく。
〈実験室〉と書かれた場所へとたどり着けば、夕方なので当然といえば当然なのだが、実験室の中は黄昏色に染まっていた。
当たり前のようにクルーウェル先生が室内の明かりをつけ、白球の白さと夕陽の赤さが相俟って眩しく感じる。
寧ろ、白球はいるだろうか？
「座れ、補習授業だ。」
「へーい。」
私を抱き抱えたまま、座るフロイドを見て溜息を吐くクルーウェル先生にAも苦笑を滲ませた。
この座り方を先生の前でやるのは初めてかもしれない。
「……じゃあ、補習授業を始める。まず、リーチ弟。水関係の錬金術の基本だ。この5つの中で組み合わせると水属性を持つ物はどれだ？」
クルーウェル先生が教団の上に何やら素材を置いていく。それは水草だったり、雑草だったり、動物の骨だったり。
しばらくそれらをヘラヘラと見ていたフロイドは端と端の素材を指差した。
「んー、よくわっかんないけど〜？それとそれだと良い感じになりそ〜。」
「……正解だ。」
思わず拍手を送るAは、フロイドを見遣ると嬉しそうに頭を搔きAを見つめるフロイド。
しかしクルーウェル先生は険しい顔を緩めない。勘で当てたことに対してそれなのだろう。
「次、A。これとこれの名前は？」
「はい。…ロココ草とラムネ草です。」
「正解だ。リーチ弟、答えを出すならちゃんと名前も言えるようになれ。通常なら減点扱いだぞ。」
「えぇ〜？ちょっとくらい点くれても良くない？」
ピシッと先生の鞭が手の中で唸る。
問答無用と言われるかのように先生の顔付きも宜しくは無い。
「阿呆。減点に決まってるだろう？名前が言えてようやく正解だ。Aを見習え。」
「へーい…」
口をへの字にするフロイドにAが頬を撫で、気を逸らせた。それに嬉しそうに顔を緩ませるフロイドに先生がやれやれと溜息を吐いた。
「(全く…、真面目なのかはたまた…)」
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
