水の中に引きずり込むのが最善!! ページ28
がっかりする彼女に3人でう〜んと頭を悩ませる。
彼女は水の上に浮いており、且つ歩行も可能にしていた。
そんな時、俺は唐突に閃いた。
「あ、分かった。ちょっと待って、ルリハタちゃん。」
「フロイド、あなた何を__」
アズールが止めようとしたが俺は一気に水の中に飛び込む。
一瞬で人魚の姿になると驚いた顔をするルリハタちゃん。
「フロイドさんの人魚姿初めて見ました…!」
「そりゃ今まで見せてないからね〜?それよりルリハタちゃん、水の中に入るよ?」
「え、どうやって…」
「だいじょーぶ!!俺を信じて?」
「…はい!」
「行くよ!!」
アズールとジェイドが固唾を呑む中、彼女の腰を掴み思いっきり水の中に引きずり込んだ。
いきなりの事で目を瞑るルリハタちゃんだったが難なく水の中に入ることに成功した。
喜んだのも束の間彼女は首を押さえ始めた。
あ、そうだった。呼吸できないんだっけ。
慌てて彼女を水上へと持ち上げると咳き込む彼女の背中を叩いた。
「げほげほっ」
「ご、ごめん、ルリハタちゃん。勢いが良すぎたかも。」
「フロイド!!彼女を殺す気ですか?!以前に言っていたでしょう?!」
「げほ…これが…溺れるって事…?」
「…だいじょーぶ?ルリハタちゃん…?」
「はい!初めてげほ、溺れることが出来ました!ありがとうございます!フロイドさん!げほ」
「あ、う、うん…。大丈夫ならいいんだけど…」
未だに噎せている彼女の背中を叩き続け、一度陸へ上げる。
するとアズールから拳が飛んできた。
うぅ…、まさか陸の人がこんなに呼吸できないなんて思わないじゃん。
「でも、一度水の中に入ることが出来ればきっと2回目からは大丈夫です!わぁ、私遂に水の中に…!!」
「めっちゃ喜んでんじゃん…」
「はぁ、彼女の反応は本当に稀有だと思いますよ?フロイド気を付けてくださいよ?」
「へ〜い。」
「ふふ、良かったですねフロイド?彼女が怖がらなくて」
「ほんとにね〜?」
未だに嬉しそうにする彼女を三人はほんわかとした表情で見ていた。
こんなに水の中に入るだけで喜ぶ人が居るだろうか、いや、いない。
陸の人間が海に対する偏見というのは風当たりが強い。
それを彼女は興味を持つだけでなくこんなに嬉しそうにするのだ。
海の出身の者ならこの事を喜ばないはずがない。
「もう一度入っていいですか?」
遂にはキラキラした顔でそう言われ、皆で目を押さえた。
こんな良い人、中々居ない…。
ゆっくりと足をつけるだけでも喜ぶ彼女に三人は涙を流した。
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作者名:モネ | 作成日時:2021年10月5日 13時