「フロイド」 ページ25
部屋一面に花が咲き乱れ、その綺麗な光景に唖然としているとルリハタちゃんがソファにもたれかかって目を閉じたのが見えた。
きっとようやく気を抜いたのだと思うと守ってあげたくて、思わず抱きしめていた。
「…いいよ。このまま…リラックスした状態で寝ても。アズールにはちゃんと言っておくから」
「…ありがとう。フロイド」
「っ!!」
今…呼び捨てで…?
慌てて彼女の顔を見るともう寝息が聞こえてきていて、明らかに寝ていると分かる顔をしていた。
顔が赤くなるのが自分でもわかる。
こんな時に急に呼び捨てなんてズルくない…?
ニヤける口元を手で隠したけど、顔が赤いため効果がない。
「お待たせしました…って、これは…!!」
「あ、アズール〜!!聞いて!?ルリハタちゃんが今、俺の事呼び捨てでさ〜!!?」
「はいはい。分かったから少し落ち着け。……しかし、これは想像以上だ。見たことがない植物まである…。」
「すごいよね、ルリハタちゃん。」
「あぁ。これは助かりますね…。」
ジェイドまで部屋に入ってきて、驚いている最中で悪いけど採取手伝ってと伝えると無言で手伝いに参加した。
3人で採取していくが、何しろ彼女は今気を張っていない状態で寝ているので採取してきた傍らすぐにまた別の植物が生えてくる。
それにアズールは大喜びで採取していたが、俺は疲れてしまったのでルリハタちゃんの近くで見物することにした。
彼女が眉間に皺を寄せてない状態で寝ているのなんて初めて見たのでしばらくそれを見ていると、流石に視線に気づいたのか彼女の瞼が震え薄ら目を開きそうだったので手で覆い隠しておいた。…顔ちっちぇ〜。
「…?フロイドさん…?」
「……さっきは呼び捨てにしてくれたじゃん…。なんで戻ってる訳〜?」
「??呼び捨てしましたっけ…?すみません。」
「謝らないでよ〜。俺は呼び捨てにされたいの!」
「ふっ…、そうでしたね……」
口が緩く弧を描く。
それを見てポカポカした気分で見ていると、2人の視線がこっちを見ていた事に気付き表情を崩す。
「あぁ?」
「お前でもそんな顔するんだな。意外だった。」
「フロイドはいつもAさんにはあんな顔をしていますよ。アズール。それよりこれはどうするんですか?キリがありませんよ?」
「あぁ。すみません。今戻します。」
「いいよっ!!ルリハタちゃん!!…折角なんだから休んでて?」
「ですが…。いえ、分かりました。ありがとうございます」
目を塞がれたままで再び口元が緩く弧を描いた。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
