対価 ページ24
この寮にお世話になって丁度3週間が経とうとしている時だった。そろそろ対価を払いに行かないとマズくはないか？と思い始めていた矢先、私はフロイドさんに相談していた。
「あ〜、そういえばそんなことあったね〜。忘れてたぁ〜!!」
「アーシェングロットさんはこの所忙しそうで声が掛けられなかったので…」
「じゃあ、アズールの所行ってみる？調度俺も用事あるしさ〜」
「はい、お願いします。」
一つ笑いを零し、フロイドさんは私を抱き上げ私は彼の首に手を回す。そろそろ寮内の人間なら見慣れてきた光景だった。フロイドさんは迷いなく歩き出すと、すぐにアーシェングロットさんに辿り着いてしまう。
…なんで分かったんだろう？
「フロイド。それにAさん。二人揃ってどうかしましたか？」
「ルリハタちゃんがそろそろアズールに対価支払わないと〜って言ってたから連れてきた〜」
「…あぁ。私とした事がすっかり忘れていました。すみません、態々出向いて下さって。」
「いえ、こちらこそお世話になっているのでお役に立てれば、と。」
「ありがとうございます。少々仕事を終わらせてきますのでVIPルームでお待ちください。」
「はい、分かりました。」
「ん、じゃあ行こ。ルリハタちゃん。」
「あれ、フロイドさんの用事は？」
「後でいーよー。」
そう言ってそのままVIPルームへと歩き出す彼。VIPルームのソファに座るとふかふかして気持ち良い。そのふかふかを堪能しているとじっとこちらを見ているフロイドさんが目に見える。首を傾げると頭を掻き複雑そうな顔をするので直接聞いてみると意外な理由だった。
「…ルリハタちゃん、まだ俺の前でも気ぃ張ってんだな〜って思ったら、なんか悔しくって…」
「フロイドさん…」
「だって、そうじゃん!!全然花咲かせてくれないし!!」
「でももう二回も貴方の前でやらかしているんですが…」
「二回だけじゃん。もっと…もっと頼ってよ…。何のために俺がいるのかわかんないじゃん…。」
「………」
哀しそうに苦しそうにそう口にする彼に一度目を伏せてから目を閉じる。どうせ対価を支払わないといけないので今出しても問題なかろう。ふっと気を抜くと部屋一面に花が咲き乱れる。それに驚いた彼は花を見てからこちらを見るので苦笑しておいた。ソファにもたれかけ、今の内にリラックスをしようと目を閉じると温かい何かに包まれる。
「…いいよ。このまま…リラックスした状態で寝ても。アズールにはちゃんと言っておくから」
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
