モストロラウンジ新作発表会 ページ21
オクタヴィネル寮でお世話になって一週間ほど経った今日。
なんだか寮内がざわついていた。
一体何があったと言うのか。
「あ、ルリハタちゃ〜ん!!」
「フロイドさん、一体何が…」
「あ?あ、そうか。ルリハタちゃんってここに来たの初めてだから知らないんだよね〜?今日は月に一回あるモストロラウンジの新作発表会なんだよ〜?」
「新作発表会?」
「うん。寮内の奴らが今日と言う日の為に新作を持ち寄って発表すんの。良かったら次の月間だけ採用されるって寸法。採用されれば金一封あるから皆張り切ってるんだよ。」
「なるほど、私も出たかったですね。」
「なに?興味あんの?」
「はい、自分が頑張って考えたものが採用されるなんて、何だか嬉しいじゃないですか。」
「そうかな〜?俺はめんどいからパス。」
頭の後ろで両手を組み明らかに怠そうな恰好の彼は、そう言いつつも店でいつも着ている寮服を着ており、今からそれに向かうのは明白である。
歩きながら話す彼に合わせてどこに行くかはわからないが私も歩き出す。
「どんな料理が出てくるんですか?」
「今回はデザートが多いと思うよ。今の時期フルーツがよく取れるってアズール言ってたから。」
「デザート…」
きっと甘い物や見た目から可愛らしい奴が出てくるのだろう。次の月の仕事が楽しみだ。
そう思いを馳せていると足が止まっていたのかフロイドさんが私を持ち上げる。
もうこれにもだいぶ慣れてしまった。
最初はこの高さが恐ろしいと思っていた訳だが今はこの高さが見やすくて調度よいとも思える。
…人間誰しも慣れは怖い。
「ルリハタちゃん。ちょっと捕まってて〜」
「え、なんでですか?」
「こっから戦争だから。危ないって事。」
「戦争…?」
「新作発表会は誰でも参加可能だから他の寮の奴らも入って来てる。ルリハタちゃんくらい小さいともみくちゃにされちゃうよ〜?」
「ひ、」
なんて恐ろしい行事だ。そんなに金一封はデカいのか…。
案の定会場は大混乱で、次から次へと料理を手に集まってくる参加者たち。
「金一封って…?」
「うん、とね。確か、50000マドルだったかな。学生の50000マドルって結構大金だって思う人も多いと思うよ〜?まぁ、お店の売り上げはもっと多いから端金だけどね〜。」
「へ、へえ…」
5万マドルとは…意外と多すぎる。その金額からこの参加者の量は確かに頷けた。
「フロイドさんは参加しないんですか?」
「俺はパス。めんどいけど審査員してるから。」
「審査員…」
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
