ミニマリスト ページ17
こんな所でルリハタちゃんは生活してたんだ。それも2年になった今でも……。それが何だか悔しかった。
もっと早く気づいてあげていればもっと何か贈ってあげられたのかもしれない。この生活に潤いくらい持たせられたのかもしれないと思うとやるせない。
彼女自身がもしかするとミニマリストなのかもしれないが。
「お待たせしました。……フロイドさん?どうしたんですか、そんな、泣きそうな顔で……」
「ルリハタちゃん、本当にここに住んでたの?」
「は、はい…。おかしかったでしょうか?」
「おかしいよ!こんなの物置じゃん!!なんで言ってくれなかったの?!もっと何かあげれたかもしれないのに!!」
「い、いや、そこまでしてもらわなくても…」
「ルリハタちゃんってミニマリストなわけ？」
「うーん、考えた事なかったんですが、贅沢の限りと言うのもなんだか気が引けるというか落ち着かないというか…。もしかしたらそうなのかも知れませんね。」
「そう…、でも、もう少し俺を頼って欲しかった……」
「フロイドさん…。ふふ、ありがとうございます。そのお気持ちだけで嬉しいですよ。」
「まぁ、ルリハタちゃんはいずれ俺の番になるから〜、ここはお払い箱だけどねぇ」
「まだ諦めてなかったんですか」
「当たり前じゃん!!え、なに、あきらめると思ってたの?!酷くない?!俺、結構本気なんだけど?!!」
「…ふふ、あはは!」
声に出して笑った彼女はそれはそれは嬉しそうに笑っていた。すると彼女の下に花が咲き誇る。彼女が驚いて刈り取ってしまう前にその手を掴むと彼女が困った顔をする。
「これ……俺の部屋に飾っていい？」
「この花達ですか？構いませんが…」
「あはっ、じゃあ、ちょっとまってて〜」
海の中じゃこんな綺麗な花は咲かない。
だからか物珍しさに部屋に飾りたくなった。でも多分それだけじゃないと思う。彼女の物だったから欲しかったと思ってたんだと思う。
そっと摘み取った花は枯れることなく生き生きとしていた。そういえば、花瓶なんてあったかな。ジェイドに聞いてみよ。
「ん、おーけー」
「じゃあ、戻りましょうか。」
「ん。」
勝手に抱き上げると苦笑をされたが、俺にはこれがもう定位置。ルリハタちゃんがここに乗ってないと安心できない。
彼女は次第に眠くなったのか首に手を回す力が緩まり、頭が肩の方に乗せられたのでいつもよりも静かに歩く。するとやはりと言うべきか、寝てしまった彼女の横顔を覗き見る。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
