俺を頼って欲しい ページ13
変わらず顔を真っ赤にし、頭を抱える寮長にジェイドを見て指を指す。これ、どうする？
「アズール。それよりもAさんはどうするんですか?早く決めないと先生方がAさんを探しに寮内に侵入してきますよ?」
「それは困りますね。」
眼鏡に手をかけながらすぐに立ち直るアズールに短い笑いをした。そうこなくっちゃ〜。
「正直に申しますとAさんには安全が確保出来ない今、帰って頂きたいのですが…、この状態のフロイドに何を聞かせようともテコでも動かないのは承知の上。ですから取引をしましょう。」
「取引…?」
「貴女の出す薬草を少し分けて頂きたいのです。少々欲しい素材があるのですが市場に出回っていないようでして。貴女のその能力で出して下さると言うなら我が寮内でお守りしましょう。…フロイドもそれで良いな？」
「あはっ!!やっぱりアズール大好きぃ〜。」
その答えに満足したのかお互いに片方だけ弧を描く唇。後はルリハタちゃんの意思だけ。
「わ、私は…ご迷惑なのではないでしょうか。」
「まぁ、それは否定しませんが…この状態のフロイドを貴女がどうにか出来るならお帰り頂いて構いません。ある意味貴女には選択肢があまり残されていないように思いますが?」
俺を見るルリハタちゃんの瞳は大きく揺れ動いていて未だに決心がついていない様子だったので思わず目を細めて腕に力を込めてしまう。
「うっ…」
「あっごめーん。思わず絞めちゃった〜。」
「わざとですよね…?」
「うん、わざと〜。だってルリハタちゃん逃げようとするんだもん!!」
「…フロイドさんは私の事煩わしくないのですか？」
「うーん、ルリハタちゃん、考えすぎなんじゃね？俺は面倒だと思ったらやらない主義なの、ルリハタちゃんもよく知ってんじゃん。」
「あ、」
「だからさぁ〜？そんな顔する位なら俺を頼れよ、ば〜か。」
「フロイドさん…、分かりました。ここでお世話になります。よろしくお願いします。」
その言葉にぱぁっと笑顔になる。やっとここで生活する気になった〜?
「やった〜!!聞いた〜?!アズール〜、ジェイド〜?!」
「はいはい。聞きましたから少しは落ち着きなさい。…ジェイド、先生方にお帰り頂いて下さい。鏡前で待機されてる様子ですので」
「かしこまりました。フロイド、行きますよ。」
「え〜?俺も〜?」
「貴方が当事者でしょう?」
「なら、私も…」
「貴女にはこの契約書にサインを。」
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
