掻っ攫う理由 ページ11
彼女は首を横に振ると、笑顔でこっちを見た。
その笑顔を見て攫いたい、と思ってしまった今日の俺はどうかしてる。
「ありがとう。フロイドさん。」
「…ねぇ、いつになったらそのさん付け無くなるの〜？」
「そうですね…。3000pt貯まったらさん付け無しになります。」
「それってあとどれくらい？」
「約2600ptですね。」
「…まだまだじゃ〜ん…」
「ふふ。頑張ってくださいね。」
ふと、頭の片隅でルリハタちゃんを掻っ攫う理由を思いついてしまい、ニヤリと笑う。
「ねぇ〜？ルリハタちゃん。うちの寮においでよ？守ってあげるからさぁ〜？」
「いいえ、それには及びません。ご迷惑をおかけするのが目に見えているのでいつもの特別室に入りますね。」
そう言って職員室から出ようとする彼女を慌てて掴む。先生達がまだ会議中なのに1人で出たら危ないよ…!!
「ルリハタちゃんが外に出たいなら俺も行く〜。ついでにルリハタちゃん掻っ攫っちゃおうかなぁ〜？」
「ふふ、駄目ですよ。先生に怒られます。」
「ルリハタちゃん守るから、番にくださいって言お〜!!俺、ちょーいい考えじゃん!!」
「先生達は私の両親じゃないけど…？」
苦笑いをするルリハタちゃんの小さな手を握り締め外へ飛び出す。そのまま寮の鏡の前に来ると流石にルリハタちゃんが手を引き抜こうと暴れ出す。煩わしくなり、その体を持ち上げキツく絞めあげれば呻き声が聞こえてくる。
「ちょ〜っと、黙っててねぇ〜？」
「フロイドさん…!これはマズイですよ!!」
「ルリハタちゃんはなんにも心配しなくていいよォ〜？怒られるのは俺だし、ルリハタちゃんの事は俺がちゃ〜んと守ってあげるからさァ？」
「フロイドさん…!!どうしてそこまで…?」
「だからァ、言ってんじゃん。ルリハタちゃんを〜番にしたいって。」
「だからって…こんな危険な事…」
《ピンポーン。A・リリィ、それからフロイド・リーチ、居たら職員室に来なさい。話がある。》
終了のチャイムが鳴り終わる頃に俺達はお互いを見ていた。どうする？そんな顔で。
「取り敢えず職員室に戻ってみませんか?」
「えー?なんか怒られそうだし面倒だから良くね？」
「フロイド、ここで何をしてるんですか。」
「あ、アズールにジェイドも〜。2人こそどうしたのォ〜？」
「先生方にお前を探してこいと言われて探していたんだ。全く…何をしているかと思えば…Aさんを巻き込むな。」
「あ、あの…巻き込んでるのは私で…」
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
