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風呂に行こうとして部屋を出ると廊下で風呂上がりであろう八左ヱ門にでくわした。
『あ、八左ヱ門。今上がってきたのか?』
「あ、あぁ。ホントはもうちょっと部屋で休みたかったんだけど、委員会で今日もドロドロでな。」
『まぁたなんかの生物が逃げ出したのか。お前も大変だな。』
思わずクスクスと笑いを溢すと少し顰めっ面をした八左ヱ門に頬を摘まれた。
「こっちの苦労も知らずに笑いやがって〜。」
『い、いひゃい、いひゃい。ご、ごめんて〜。』
ホントはそんなに痛くないけど、笑ってしまったのは悪かったかなと思って一応謝る。
兵助と話してると落ち着くんだけど、八左ヱ門とこういう風に話してるとなんか…ソワソワするんだよな。
変な感じがする。
ふと、八左ヱ門の髪から雫が滴っているのが目に入った。
『お前髪ビショビショじゃん。ちゃんと拭かないと風邪引くよ。ほら、手拭い貸して。』
「え、いいよ!自分で拭くから!」
『そんなこと言ってどうせ乾かさないでそのまま寝てるんだろ。だからタカ丸さんにトリートメントする機会を狙われるんだよ。』
「っうぐ。」
手拭いを八左ヱ門から奪い取り、ゴワゴワの髪を拭いてやる。
(ホントに髪には無頓着なんだなぁ。でも、確かに顔はなにもしなくてもカッコいいし、体もしっかり鍛えて…る)
そんな事を考えているとふと目の前の八左ヱ門と目が合った。
なぜかその瞳に吸い込まれるように、目を逸らすことができないでいると少しずつ八左ヱ門の顔が近付いてきた。
(ぇ、え…えぇ!?)
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作者名:結 | 作成日時:2023年6月27日 15時