4【八左ヱ門side】 ページ5
【八左ヱ門side】
「はあぁ〜っ…今回もダメだった。」
生物小屋の前で今日イチの馬鹿デカいため息を吐く。
「目の前にすると、やっぱり言えないんだよなぁ…。」
「やっぱりダメだったか。情けないやつだなぁ。」
「!?!?」
驚いて後ろを振り返ると、そこには声の主である三郎となんだか困った顔をした雷蔵がいた。
油断し過ぎて二人の気配に全く気付かなかった…。
「折角二人にしてあげたのに…。八ってホントに男だよね?」
「うーわー、傷口抉るなぁ、おい。」
「雷蔵、八が情けないのは今に始まった事ではないぞ。」
「お前ら、俺にトドメ刺しにきたんか!?」
「いや、でもそれは俺も二人に激しく同意〜!」
二人の同級生の辛辣な言葉でボコボコにされていたところにまた追い討ちをかけるように現れた影が一つ。
「〜〜っ!なんだよっ!勘右衛門までっ!」
「だって穴の中で二人きりだったんだろ〜?これ以上ないってくらい絶好の機会だったのにさ。」
「!?…っ見てたのか〜〜!…ん?ってことはまさか…」
俺がハッとした顔で勘右衛門を見やると、勘右衛門は人差し指を自分の唇の前にたて、僅かに口角をあげてずるい笑みを浮かべた。
「そ。兵助が新作豆腐作ってるのは嘘♡」
「で、でも!兵助、俺らのこと探してたぞ!」
「それはみんないないから探してただけだろうな。」
「兵助には悪いことしちゃったね。」
俺の疑問に今度は三郎と雷蔵が答える。
なんてことだ…。すっかりこの三人に嵌められていたとは。
でも、今回の事で俺はある決意をした。
「さぁて、次の手はどうするかな…」
三人がまた集まって話し合いを始めようとした時。
「俺、気持ち伝えるのやめるわ!」
俺は自分の決意を声を大にして発表した。
「「「…はぁっ!?!?」」」
三人は驚きの表情で俺を見ている
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作者名:結 | 作成日時:2023年6月27日 15時