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あの日から5年…私はここ、【忍術学園】でたくさんの仲間たちと共に生活してきた。
それは何にも変えがたく貴重な時間だった。
「A〜っ‼︎」
『勘右衛門。どうしたんだよ。そんなに必死になって…』
特徴的な長髪をなびかせながら、廊下を歩いていた私のもとに駆け寄ってきたのは五年い組の尾浜勘右衛門だ。
「た、大変なんだっ!へ…っ!」
『あ、分かった。私も身を隠さなきゃだから、またな!」
そう言って跳躍しようとする私の二の腕を勘右衛門がひっしと掴まえる。
「っ!おぉいっ…!それが友達に対する態度か⁉︎薄情ものめ‼︎それにまだ何も言ってないんだけど⁉︎」
そう叫ぶ勘右衛門と目が合う。
あ、ちょっと潤んでんじゃん。
『いや、最初の一文字で分かったし。あとお前のその慌てよう。どうせ兵助が新作の豆腐料理でも作ってるんだろ。早めに身を隠さないと捕まる。じゃ!』
「あ、当たってる…ってあぁ‼︎はっや‼︎俺も早く隠れなきゃっ…!」
勘右衛門と別れた私は他の五年生を探しながら隠れる場所を考える事にした。
(今回はどうしようかな、この前は屋根裏でバレそうだったから喜八郎に良さげな場所に塹壕でも掘ってもらうかな…あ、あの後ろ姿は…!)
『おーい!雷蔵!三郎!』
「ん?Aじゃないか。僕達に何か用かい?」
「お前が廊下を走ると学級委員長の私が叱られるだろう。」
廊下を歩いていたそっくりな二人組に追いつくと雷蔵はにこやかに、三郎はジト目で私を見た。
そう、私も五年ろ組の生徒の一人だ。訳あって、一年生の時から忍たま達と共に学んでいる。
『三郎、気にするところそこ?せーっかく教えてあげようと思ったのに、雷蔵だけにはーなそ!雷蔵耳貸して。』
私が雷蔵にそっと近寄ると三郎が急に慌てだす。
「なっ!私にも教えてくれたっていいだろー!それに雷蔵に近寄りすぎだっ!」
予想通りの反応に私と雷蔵が笑い出すと少し頬を膨らませた三郎が輪に入ってきた。
「で?僕達に教えたいことってなんだい?」
『実はさっき勘右衛門に会ったんだけど、すっごく慌てた様子でさ、へ…』
「「それはまずいっ!!」」
『…私まだ何も言ってないけど、察してくれたようで。』
「そうと分かれば早く身を隠さなくてはな!A、お前八にも教えてやれよ。」
『えぇっ!?私が!?あいつ今どこに…』
「おぉーい!A、雷蔵、三郎!三人で何話してるんだ?」
思わぬ役目を任されて困っていた矢先によく知った声が響いた。
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作者名:結 | 作成日時:2023年6月27日 15時