7通話目�� ページ44
山中「佐野先輩からすでに聞いてるかもしれませんが、僕からもお願いです。捜査に協力してもらえませんか？犯人を、米沢を捕まえる力になってほしいんです」
板垣「彼には協力するつもりだけど、君に協力するつもりはない」
きっぱりとそう言われると、少し傷つくな。
板垣「彼が事件を解決すれば、それで済む話だろ？わざわざ君がそんなこと言わずとも、犯人の居場所ぐらいすぐに―」
山中「そうはいかない。僕だって少しの間だけど、佐野先輩とバディを組んで彼を見てきました。米沢の居場所がわかったら、きっと先輩はそのことを誰にも言わず、一人でそこへ行って変な気を起こして無茶する！そういう人なんですよあの人は！普段ずぼらなくせに…。だから、僕だって先輩の力になりたいんです！お願いです！僕にも力を貸してください！」
記事を読んでいるとき、そう思った。
きっとあの時も、佐野先輩は、自分のバディだった米沢を、たった一人で何とかしようと思ったに違いない。
優しすぎる彼は、きっと、話せばわかってくれると思ったに違いない。
だから、三年前のあの日も、誰にも相談せず、一人で米沢を追っていたんだ。
そして、この探偵を助けるために、自分が犠牲になったのだ。
今回も、その気持ちは変わっていないかもしれない。
塩崎先輩には、同じ過ちは繰り返さないと言っていたけど、そんなの状況によってはわからない。
だとしたら、誰かが一緒に付いていてあげないと…。
そして、それは佐野先輩のバディである僕の役目だ！
板垣「へえ…。君も案外…」
そこまで言うと、所長はソファの背もたれに体を預け、小説を手に取った。
板垣「依頼料は100万円。びた一文もまけない。それが無理ならこの話はなしだ。さぁ、どうする？」
山中「いくらでも払ってやりますよ。あなたが本気で協力してくれるんなら！」
板垣「即答か…なるほど…。なら契約成立。細かい話は曽野君が明日説明する。お金はその時に。…まぁ、少しでも迷うようなら絶対に力を貸さなかったけど、どうやら君は俺が協力するにふさわしい人間みたいだ」
山中「ありがとうございます…！」
僕は、所長のその言葉に深々と頭を下げた。
―
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2019年6月30日 15時
