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僕と佐野先輩は、二人で米沢容疑者(仮)の手掛かりを探すべく、手渡された容疑者の顔写真を手に、一日中事件現場周辺や、都内で聞き込みを行った。
しかし、まったく何の手掛かりもないまま、日が沈もうとしていた。
佐野「くそっ…！！」
橋の上で、沈みゆく夕日を見ながら佐野先輩は、橋の手すりを思い切り殴りつけていた。
なぜそこまで感情的になるのだ。
佐野先輩の表情は、また恐怖や怒り、悲しみが混じった顔をしている。
山中「先輩、あの人とどういう関係だったんです？」
佐野「…。悪い柔太朗…。今は、それより捜査だ…」
この前の意趣返しのつもりか？
いや、この人はそんなことしないか…。
だとしたら、僕には教えたくないということだ。
それなら、これ以上聞くのはやめておこう。
山中「そうですか…。それより、昨日から碌に寝てもないし、ご飯だって食べてないでしょ？一旦家に帰って休んできたらどうです？シャワーぐらい浴びてもいいんじゃないですか？」
僕は、汗まみれでやつれた佐野先輩の横顔を見ながらそう言った。
そんな根詰めて捜査しても、体を壊すだけだ。
…何だ、僕は佐野先輩の事、心配してるのか…？
佐野「…。そうだな…」
佐野先輩は小さくつぶやいた。
するとその時だった。
橋の下の川の方で、何やら小さな声が聞こえてきた。
声のする方を見てみると、白い小さな猫が溺れてる。
山中「あっ…あそこに猫―」
僕が言い終わる前に、佐野先輩はスーツを脱ぎ捨てて、川の方へ降りていった。
そして、何のためらいもなく川に飛び込むと、その猫を一瞬で拾い上げて川から上がってきた。
スーツを脱ぎ捨てた際、道路に先輩のスマホが飛び出して転がっていたため、僕はスーツとそのスマホを拾いあげると、先輩の下へ駆けていった。
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年6月30日 15時
